だから、物が重いか軽いかに関わらず、受け取るべきものは受け取らなければならない。
西村绘里は口元を引き締めた。黒田真一はすでに自分から甘奈を抱きかかえて玄関へ向かっていた。西村绘里がまだその場に立ち尽くし、物思いにふけっている様子を見て、薄い唇を開いた。
「西村绘里、ドアを開けて」
「あ...はい」
西村绘里は唇を噛みながら、前に走り寄り、左手の薬指を伸ばして指紋認証した。
ドアはすぐに開いた。
家に着くと、黒田真一はようやく小さな女の子を床に下ろした。
甘奈は昨日ぼんやりしていて、臨海別荘があまりにも広かったため、すべてを見ることができなかった。
今日は早く帰ってきて、興奮しながらリビングに走り、声を上げた。
「パパ、このトラ、すごくかわいい!」
小さな女の子が指さしていたのは、西村绘里がデザインした寅虎だった。