西村絵里は黒田真一の言葉に、思わず吹き出して笑った。
黒田真一は本当に言葉巧みで、一言一言が珠玉のようだ。
甘奈も嬉しくて仕方がない……
西村絵里はまだ顔を引き締めて、不機嫌そうに言った。「手に持ってるお菓子を捨てなさい、顔を洗いに連れて行くわよ……小さな猫ちゃん」
「わーん……わかったよ」
……
黒田真一は西村絵里が甘奈のお菓子の件でとても厳しい様子を見て、薄い唇がかすかに上がった。
こんなに厳格な女性……
普段とは、まるで別人のようだ。
……
黒田真一がシャワーを浴び終えて出てくると、西村絵里はすでに甘奈を抱いてベッドで休んでいた。西村絵里は手に童話の本を持ち、とても優しく小さなロリータにお話を読んでいた。
「大きな灰色のオオカミが言ったの、小うさぎさん、早く出ておいで、食べたりしないって約束するよ、ただ楽しく友達になりたいだけなんだ……」
「うーん……ママ、それで、小うさぎは出てきたの?」
西村絵里は童話の本から視線を離し、期待に満ちた小さなロリータの瞳に落とし、真剣に口を開いた。
「うん、出てきたわ……なぜなら、どんな時でも、人を信じることは大切だから……わかる?」
なぜなら……もし信じれば、騙されるかもしれない。
でも、もしずっと信じないことを選ぶなら、それは……おそらく一生友達ができないということになるわ。
「それで食べられちゃったの?」
「うーん……ううん、二人は楽しく友達になったのよ……」
「わぁ……すごいね」
黒田真一はそれを聞いて薄い唇を少し上げた。童話の本には、絶対にそんな風には書かれていないだろう。
西村絵里は自分の理解で小さなロリータに説明していて、小さなロリータは喜んでいた。
「わぁ……わかったよ……大好き大好き……へへへ……ママ、このお話好き」
「うん、ママも好きよ……」
西村絵里は黒田真一が長身でベッドの方向に歩いていくのを見て、唇を噛んだ。
「パパ……寝るよ」
「ああ」
黒田真一は小さなロリータが自分に手を振るのを見て、西村絵里の美しい瞳の中には挑発的な、自分を全く恐れていない様子があり、薄い唇を少し上げた。
やはり……
この甘奈は、西村絵里の秘密兵器だ。
西村絵里は、甘奈がいれば、自分が彼女に何もしないだろうと考えているのだろう。