西村絵里は黒田真一の言葉に、思わず吹き出して笑った。
黒田真一は本当に言葉巧みで、一言一言が珠玉のようだ。
甘奈も嬉しくて仕方がない……
西村絵里はまだ顔を引き締めて、不機嫌そうに言った。「手に持ってるお菓子を捨てなさい、顔を洗いに連れて行くわよ……小さな猫ちゃん」
「わーん……わかったよ」
……
黒田真一は西村絵里が甘奈のお菓子の件でとても厳しい様子を見て、薄い唇がかすかに上がった。
こんなに厳格な女性……
普段とは、まるで別人のようだ。
……
黒田真一がシャワーを浴び終えて出てくると、西村絵里はすでに甘奈を抱いてベッドで休んでいた。西村絵里は手に童話の本を持ち、とても優しく小さなロリータにお話を読んでいた。
「大きな灰色のオオカミが言ったの、小うさぎさん、早く出ておいで、食べたりしないって約束するよ、ただ楽しく友達になりたいだけなんだ……」