第406章 名目上の夫婦1更(4)

「はい。」

「とても簡単よ……」

そう言って、西村絵里は口元の笑みをこらえながら、スマホを取り出し、ボーイのテーマソングを再生した。

私について左手右手でスローモーション、スローモーションリプレイ!

音楽が流れ始めると、さっきまで悔しそうに泣いていた小さな女の子は、すぐに笑顔になった。

「パパ、すごく良い曲だね。」

黒田真一:「……」

西村絵里の勝ちだ。

黒田真一は口角を引き上げた。元々胸元は甘奈のよだれでかなり濡れていたが、今は小さな女の子の涙でさらにぐしゃぐしゃになっていた。

黒田真一も感慨深く思った。自分がいつからこんな忍耐力を持つようになったのだろうか。

「パパ……わぁ……朝のパパもすっごくかっこいいね。」

黒田真一:「……」

さっきまでは悔しくて仕方なかったのに、今はすぐに元気になった。

黒田真一は思わず笑みを浮かべ、あきらめたように口角を上げ、ベッドサイドテーブルからウェットティッシュを取って小さな女の子の頬を拭いた。

大きな目は潤んでいて、今は真っ赤になっていた。

見るからに可哀想そうだった。

「うん……」

「パパ、抱っこ……」

「いいよ。」

黒田真一は愛おしそうに小さな女の子を抱きしめ、子供の感情の変化があまりにも速いことに感心した。

西村絵里は黒田真一の戸惑った様子を見て、口角を上げ、気分が良くなった。

「さあ……甘奈、ママが抱っこして、洗面所に連れて行くわ。」

「うーん……じゃあママ、スマホも一緒に持っていける?」

「もちろんよ。」

「やったー!」

西村絵里:「……」

小さな女の子も本当に十分だ。

西村絵里はあきらめたように口角を上げ、小さな女の子を抱き上げ、スマホを手に取ってバスルームへ向かった。

黒田真一は自分の胸元の惨状を見て、眉をひそめ、書斎のバスルームへ向かった。

母娘二人が引っ越してきてから、寝室の専用バスルームは二人のために用意されていて、自分は他のバスルームを使わなければならなくなった。

……

西村絵里は甘奈を抱いて洗面を済ませ、小さな女の子の髪を二つに結んでやると、歩くたびにとても可愛らしかった。

小さな女の子が着ているお姫様の服と合わせると、全体的にさらにピンク色で可愛らしく見えた。

「パパはどこ……」

「下にいるわ。」

「うーん……」