第406章 名目上の夫婦1更(4)

「はい。」

「とても簡単よ……」

そう言って、西村絵里は口元の笑みをこらえながら、スマホを取り出し、ボーイのテーマソングを再生した。

私について左手右手でスローモーション、スローモーションリプレイ!

音楽が流れ始めると、さっきまで悔しそうに泣いていた小さな女の子は、すぐに笑顔になった。

「パパ、すごく良い曲だね。」

黒田真一:「……」

西村絵里の勝ちだ。

黒田真一は口角を引き上げた。元々胸元は甘奈のよだれでかなり濡れていたが、今は小さな女の子の涙でさらにぐしゃぐしゃになっていた。

黒田真一も感慨深く思った。自分がいつからこんな忍耐力を持つようになったのだろうか。

「パパ……わぁ……朝のパパもすっごくかっこいいね。」

黒田真一:「……」

さっきまでは悔しくて仕方なかったのに、今はすぐに元気になった。