第407章 名目上の夫婦1更(5)

「パパ……毎日パパと一緒にご飯を食べると、パパがあまりにもかっこいいから、食欲も増すの」

西村絵里は不機嫌になり、口を尖らせて尋ねた。「甘奈さん、私の作った料理がおいしくないって言いたいの？」

黒田真一「……」

どうやら嫉妬の匂いを感じたようだ。

西村絵里が嫉妬していた。

甘奈は西村絵里の言葉を聞いて、さらに甘えるように言った。「もちろん、ママの料理も最高においしいよ、最高！」

「もういいわ……おしゃべりはやめなさい」

「うーん……」

西村絵里は甘奈の口元の明るい笑顔を見て、心の中は実際暖かくなっていた。

実は、自分の最大の願いは、この小さな女の子が幸せに過ごせることだった。

事実、甘奈は今まさにそうしていた。

西村絵里の心は複雑な感情で一杯だった……

……

朝食を終えると、西村絵里は甘奈に上着を一枚着せて、出かける準備をしていると、黒田真一がスーツを着て彼女の前に立っていた。

黒田真一は優雅に大きな手を伸ばして胸元のボタンを留め、ゆっくりと口を開いた。

「ニュースの騒ぎはまだ収まっていない。幼稚園の吉田先生には三日間の休みを取ってもらったから、この三日間、甘奈は幼稚園に行かなくていい」

西村絵里は昨日も黒田真一からそう聞いていたが、唇を噛んで尋ね返した。

「でも、私たちは二人とも仕事が忙しくて、彼女の面倒を見る時間がないわ……甘奈ちゃんはどこに行くの？」

黒田真一の黒い瞳に魅力的な光が走り、何気なく言った。「うん……もう準備はできている」

西村絵里「……」

準備ができている？

西村絵里はその言葉を聞いて少し困惑した。

甘奈を黒田真一はどこに連れて行くつもりなのだろう？

……

西村絵里は甘奈を抱いて車に乗り込んだが、黒田真一が甘奈を連れて藤原家の古宅に到着したことに驚いた。

西村絵里は美しい瞳を見開き、口元の笑みが凍りついた。

これは……黒田真一はどういうつもりだろう？

黒田真一はすぐに車から降り、西村絵里の腕から甘奈を抱き取り、藤原家の正門に向かって歩き始めた。

甘奈は昨日も藤原家に来ていて、藤原お爺様がとても好きだったので、思わず口を開いた。

「パパ……もうすぐお爺様に会えるの？」

「もちろんだよ……甘奈はお爺様が好き？」

「へへへ、好き、お爺様は私にとても優しいの、私はお爺様が大好き」