「んん……」
西村絵里は黒田真一のキスで頭がくらくらした……
自分の体のキスマークは、いつも新しいものが古いものの上に重なっていた。
全く消えたことがなかった……
西村絵里は知らなかったが、実は黒田真一はそれほど強くキスしていなかった……ただ西村絵里の肌があまりにも繊細だったため、少し注意を怠るとすぐに跡がついてしまうのだ。
これについて……黒田真一もとても頭を悩ませていた。
西村絵里は思わず小さな手を伸ばして男の大きな手を握り、小さな声で言った。
「黒田真一……疲れた、もう……やめてくれない?」
黒田真一はその言葉を聞いて薄い唇を引き締め、下にいる女性を見つめ、女性の美しい瞳に宿る小さな懇願を見た。
そして女性のそのような弱々しい姿に火照りも収まった。
黒田真一は……自制心のある人間ではなかった。
しかし……
西村絵里がここ数日本当に疲れていることを知っていた。
「わかった……今日は許してあげる。帰国したら、ちゃんと埋め合わせをしてもらうからね?」
西村絵里:「……」
つまり、黒田さんの言う意味は後で清算するということか?
後で清算するとはいえ、今は危機を脱したようなものだ。
西村絵里はその言葉を聞いて、力強くうなずき、黒田真一に自分を抱きしめさせた。
「絵里、この部屋に見覚えはないか?」
西村絵里:「……」
黒田真一とベッドに横たわっているのに……何もしないなんて。
男は口頭で約束したとはいえ、西村絵里の心はまだ締め付けられていた。
よく考えてみると、うなずいた。
「ある……とても見覚えがある」
名状しがたい親近感が心に漂い、もし西村絵里になぜ見覚えがあるのか尋ねたら……
西村絵里は言葉にできなかった。
おそらく……自分はこれまであまりにも多くの大小さまざまな住宅設計図を描いてきたからだろう。
だから……実物を見ると……
一瞬で……本当に印象がないように感じた。
そう思うと、西村絵里の美しい瞳が少し震えた……
視線は頭上のシャンデリアに固定され、いくつかの細部が自分の脳内のイメージと重なった。
「黒田真一……もしかして……」
「そう……君の考えている通りだよ」
黒田真一は愛情を込めて薄い唇を女性の繊細な耳たぶに当て、魅惑的に言った。