第514章 夜勤が足りなければ早番で続ける2更(7)

西村絵里は黒田真一に抱えられて浴室に連れて行かれ、彼に身体を清めてもらい、その後、体にフィットするロングドレスに着替えた。

足元には平底の靴を履いていた。

仙台市はちょうど冬だったので、黒田真一は母娘のために厚手のコートを用意していた。

三人家族は昼食を済ませた後、島の飛行機に乗って直接国に帰った。

城の使用人たちは整然と並び、玄関で見送っていた……

「黒田さん、黒田奥さん、甘奈さん、さようなら。」

小さな女の子はローマで過ごした数日間で、多少英語を話せるようになっており、さよならを言う時には手足を動かして、とても興奮していた。

西村絵里は両脚の間と腰に強い痛みを感じていたが、それでも薄い笑みを浮かべ、優しい声で言った。

「皆さん、お世話になりました。」

黒田真一は眉を上げ、王者の威厳を漂わせていた。

「飛行機に乗ろう。」

「はい。」

西村絵里はこの島には城だけだと思っていたが、予想外にすべてが揃っていた……

飛行機も滑走路も準備万端だった。

黒田真一……

彼は一体どんな男なのだろう。

村上秘書はローマで購入したプレゼントを飛行機に運び、後方支援の仕事をこなしていた。

西村絵里は小さな唇を尖らせながら、心の中では名残惜しく思っていた。

ここはとても美しい……

はぁ……本当に帰りたくないな。

「パパ、私たち、また次にここに来ることができる?」

「甘奈はここが好きなの?」

「うーん……好き……実は、甘奈はパパとママがずっと一緒にいることが好きで、どこにいても良いんだ……ただ、帰ったら、パパが夢みたいに……いなくなるんじゃないかって心配なの。」

そう言うと、甘奈は少し寂しそうな表情を見せた。

やはり子供だから……

実際に求めているのは、一緒に過ごす時間だけだ。

特に豪華な環境ではね。

西村絵里は心が温かくなり、小さな手を伸ばして優しく言った。「私が抱っこするわ、私が少し慰めればいいから。」

「いや、僕がやる……」

黒田真一は小さな女の子を抱き上げ、大きな手で優しく彼女の泣きそうになって震える背中をさすった。

甘奈は泣いてはいなかったが、涙が目に溜まっていた。

強情に我慢していたので、声を出して泣くことはなかった。