第638章 病室での甘い雰囲気2更新購読募集(4)

黒田真一……まさにそのようなケシの花のような男だった。

一瞬前は……妖艶な表情で、骨の髄まで可愛がってくれる。

次の瞬間には……すぐに見せかけだけの、完全に几帳面な上司の姿になる。

これは本当に自分の立場をきちんと弁えているんだなと、西村絵里は思わず笑みを漏らした。男性のこの厳粛で真剣な様子を見て、しばらく考えた後、この夫を……呼ぶべきか呼ばないべきか?

自分は……いつも黒田真一に対して気まぐれに振る舞い、二人は密かに駆け引きをしていた。自分は一度勝ちたいと思っていたが……毎回、完敗してしまうのだ。

そう思うと、西村絵里は不機嫌そうに口を開いた。

「うーん……ダーリン!黒田真一、これで満足した?」

「甘さが足りないな」

西村絵里:「……」

甘くなんかないよ。

西村絵里は口元に微笑みを浮かべ、声を柔らかくした。

「ダーリン……」

「ほら……いい子だ、ダーリンの腕を抱きながら呼んで」

西村絵里:「……」

自分が初めて黒田真一をダーリンと呼んだのは……井上莉菜の前だった。

あの時は、突然小さな手で黒田真一の腕を抱きながら甘く呼んだのだった……

西村絵里は美しい瞳をきらめかせた……あの時、黒田真一は全身が少し硬直していたことを覚えている。しばらくしてから、やっと口元に妖艶な笑みを浮かべた。

西村絵里は口元を引き締め、黒田真一がこういうのに弱いのだと分かった。

西村絵里は小さな手を伸ばして黒田真一の腕に絡め、口元に甘い笑みを浮かべ、黒田真一の耳たぶに近づき、とても真剣に甘えた声で言った。

「ダーリン、うーん、一体解決策は何なの?ねえ?」

言い終わると、西村絵里はとても魅惑的に黒田真一の耳たぶに近づき、熱い息が黒田真一の感覚と呼吸をかすかに撫でるように、黒田真一は……すぐに喉が引き締まるのを感じた。

西村絵里は、間違いなく悪魔ちゃんだ……

自分を止められなくさせる……ただ悪魔ちゃんのこのような誘惑、そそのかしに任せるしかない……

黒田真一の黒い瞳は再び濃墨のような深みを帯びた。

西村絵里は甘えた様子で、魅惑的で……

「黒田真一、これで満足した?」

「足りない……」

西村絵里:「……」

足りないってどういう意味?

自分はもう呼んだのに……