015 手のひらに乗せた女性、彼女に苦しみを与えることは許さない

村上念美は村上翔偉と少し話をした後、男性の感情が安定したのを見て、リハビリ室に行って村上佑城の様子を確認した。しかし、村上念美は姿を現さず、窓の前に立って母親が村上佑城を励ましているように見えたので、唇を軽く噛みながら、丸一時間立ち尽くしてから離れた。

車に戻ると、レイアは村上念美が村上佑城に会わなかったことに気づき、思わず口を開いた。「村上お嬢様、どうして大少爺や奥様にご挨拶されなかったのですか?」

「兄はプライドが高いから、私の前では何でもないふりをするわ……無理に笑顔を作る姿を見たくないの」

母親については、村上念美は自分と藤原景裕の関係について尋ねられることを心配していた。自分は言葉に詰まり、母親をさらに心配させるだけだろう。

「わかりました」

「うん、引き続きエッセンシャルオイルの原料工場とのアポイントを取って。明日、村上氏の最新のエッセンシャルオイルサプライヤーを獲得するつもりよ」

「はい」

……

レイアが村上念美を南町別荘まで送り届けた。別荘に着くと、自分一人だけだと気づいた村上念美はほっと息をついた。携帯の時間を見て、もう夜になっていることに気がついた。

午後は藤原景裕に無理やり付き合わされて3時間近く食事をし、その後病院に行ったため、時間はこうして過ぎていった。

村上念美は食欲があまりなく、夕食は適当に済ませようと思い、シリアルを少し食べるだけにしようとしたが、突然午後に藤原景裕が個室で自分に警告したことを思い出した。

体重は増えることはあっても、減ることは許さない。

そう、結局藤原景裕は自分のお腹に子供がいると思っているのだ。

そのことを考えると、村上念美は急いで寝室に入り、部屋着に着替えてキッチンに向かい、ヘアゴムで長い髪をポニーテールにまとめた。

村上念美はエプロンを身につけ、手慣れた様子でトマトを切り、卵を2つ割り、箸でよく混ぜた。

3年前までは、自分は村上家の何不自由なく育った三女だったが、留学した3年間の一人暮らしで、自立した生活を送るようになった。

最初は出前に頼り、次にインスタント麺を食べ、徐々に不味い料理を作るようになり、最終的には簡単な家庭料理を作れるようになった。今でも両親は自分が料理できることを知らない。

考えている間に、村上念美は手際よく香り高いトマト卵麺を一杯テーブルに運んだ。