魅力クラブの個室内:
部下は考え込んで、困惑しながら尋ねた。「景山様、でも3年前、村上三女さんは婚約を破棄して、藤原景裕を捨てて木村陽太と一緒に海外に逃げたんじゃないですか?この藤原景裕はまだ村上念美の生死を気にかけているんですか?」
「間違いなければ、当時藤原景裕は二度と関わらないと宣言したはずだ。」
婚約破棄の件は、大崎市中の人々を驚かせ、一時は藤原家を笑い者にした。
景山瑞樹も、そのニュースを聞いた時は驚いた。結局のところ、当時村上念美と藤原景裕が一緒になったことは、多くの人の予想を裏切るものだった。まるで子供のようにはしゃぐ村上念美が、冷たく神のような藤原景裕を手に入れたなんて誰も想像できなかった。
そして、村上念美が婚約を破棄し、木村陽太と海外へ行き、藤原景裕を捨てたことは、さらに理解し難かった。当時、藤原景裕は彼女を骨の髄まで愛していたのだから。
景山瑞樹の記憶が正しければ、当時村上念美が自分とトラブルになった後、村上佑城と藤原景裕がどれほど彼女を守ったかを覚えている。
景山瑞樹は不良っぽい笑みを浮かべ、邪悪に唇を曲げた。まるで妖艶で国を傾ける美しさだった。
「愛しているかどうか、深い愛か偽りの愛か、言葉は人を騙せても、行動や表情は騙せない。」
景山瑞樹は確信していた。3年前、藤原景裕は村上念美を自分の命のように大切にしていた。女は既に男の命の根だった。切り離すことはできない。
「そうですか。」
部下は半信半疑の様子で、景山瑞樹は薄い唇を引き締め、無関心そうに続けた。
「しかし、この村上念美は確かに人を惹きつける。」
部下は景山瑞樹の言葉を聞いて心が震えた。彼がどの女性にも興味を示す言葉を言ったことがなかったからだ。
この村上念美は例外だった。
……
村上念美とレイアが魅力クラブを出た後、レイアは会社から電話を受け、電話を切ると興奮して村上念美に言った。
「村上お嬢様、今、会社の倉庫管理者から連絡がありました。景山様が既に精油を村上氏に送るよう手配したそうです。」
村上念美:「……」
レイアは大喜びだったが、村上念美の顔に何の興奮の表情も見られなかったため、思わず口を開いた。「村上お嬢様、どうしたんですか?何か問題でも?」