休憩室内:
「行きましょう」
景山瑞樹は視線で村上念美に自分の腕を組むよう促した。村上念美は口元に微かな笑みを浮かべ、手を上げて男性の腕に手を添えた。
……
パーティー会場に入ると、村上念美はようやく今日のパーティーがとても盛大なものだと気づいた。大崎市の権力者たちが全員出席していた。
ここ数日、村上氏の雑事に忙殺されていた村上念美は、このようなパーティーのことを気にかける余裕がなかった。
村上念美は唇を引き締めた。実は3年前、自分が婚約破棄という衝撃的な行動をとって以来、人前に姿を現したくないと思っていた。
「帰りたい?」
隣にいる景山瑞樹が彼女の心を正確に言い当てた。村上念美は否定しなかった。
「うん」
「村上念美、あなたは今、村上氏を引き継いだばかり。ビジネスの世界では人間関係が非常に重要だよ」