022 藤原さんが来た

休憩室内:

「行きましょう」

景山瑞樹は視線で村上念美に自分の腕を組むよう促した。村上念美は口元に微かな笑みを浮かべ、手を上げて男性の腕に手を添えた。

……

パーティー会場に入ると、村上念美はようやく今日のパーティーがとても盛大なものだと気づいた。大崎市の権力者たちが全員出席していた。

ここ数日、村上氏の雑事に忙殺されていた村上念美は、このようなパーティーのことを気にかける余裕がなかった。

村上念美は唇を引き締めた。実は3年前、自分が婚約破棄という衝撃的な行動をとって以来、人前に姿を現したくないと思っていた。

「帰りたい?」

隣にいる景山瑞樹が彼女の心を正確に言い当てた。村上念美は否定しなかった。

「うん」

「村上念美、あなたは今、村上氏を引き継いだばかり。ビジネスの世界では人間関係が非常に重要だよ」