040 私と景裕は結婚登録しました

南町別荘：

村上念美は大人しくソファに座り、表情は穏やかだったが、心の中は複雑な思いで一杯だった。

藤原景裕はいつ帰ってくるのだろう？

自分と藤原景裕が既に結婚していることは、藤原景裕から言うべきか、それとも自分から言うべきか？

もし藤原景裕が自分の妊娠のことを言い出したらどうしよう？

この腹の子は偽物なのだから。

藤原景裕と本当の夫婦になることさえ自分にとっては難しいことなのに、そんな短い時間で子供を作るなんてさらに難しい。

村上念美の美しい瞳に一筋の暗い光が走った。来春さんが牛乳を持ってくるのを見て、念美はそれを手に取り一口すすり、礼儀正しく話題を振った。

「藤原おじさん、藤原大旦那様のお体の具合はいかがですか？」

「まあまあだ」

藤原陽の言葉は冷たくもなく熱くもなく、明らかに良い顔をするつもりはなかった。

村上念美は彼を責めなかった……

かつて自分が侮辱したのは藤原景裕だけではなかった。

藤原家全体だった……

……

「若様……若様がお帰りになりました」

リビングの空気が一瞬気まずくなったとき、来春さんが突然興奮して入ってきた。

村上念美の美しい瞳が輝き、気づかれないようにほっとため息をついた。

来春さんはこっそり村上念美の側に寄り、小声で言った。「若様の行動は早いですね。電話してからすぐに戻ってこられました」

来春さんが道のりを計算すると、少なくとも30分以上かかるはずなのに、若様はなんと20分もかからずに飛んで帰ってきたのだ。

……

来春さんだったのか。

来春さんは心の中で感謝し、うなずいた。

「ありがとう、来春さん」

……

藤原景裕の長身がすばやくリビングに入ってきた。黒い瞳が素早く村上念美の姿を捉え、彼女が無事なのを見てほっとした後、さりげなく視線を外した。

「お父さん、お母さん、どうしてここに？」

言い終わると、藤原景裕はすぐに村上念美の隣に座り、熊谷紗奈と藤原陽の表情は良くなかった。

「あなたはしばらく藤原家に帰っていないわ。母親は息子に会いたくて、だから訪ねてきたの。あなたがなぜ家に帰らないのか、その理由も見たかったのよ」

熊谷紗奈の言葉には冷たさと非難が込められていた。藤原景裕は軽く唇を噛んだ。

村上念美は内心舌打ちした……

熊谷紗奈の性格は間違いなく強気だった。