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藤原景裕が去った後、車を運転して藤原氏へ向かった。

黒い瞳は深く、意味深な思いに満ちていた。

あの頃、自分が村上念美を愛していることを最初に知ったのは、木村陽太だった……

自分は念美に対して冷たく、一見無視しているように見えたが、実際には、自分の視界の隅には常に彼女がいた。

少年の心は、兄弟の間では明らかだった。

木村家は代々の学者の家系で、木村陽太は人格も玉のように温和だった。

木村陽太はすべての人に対して親切だったが、それは礼儀的なものであり、唯一村上念美に対してだけ、感情を持っていた。

念美が現れるところでは、彼の視線はすべて念美に集中していた。

だから、木村陽太が念美を愛していることを最初に知ったのは、自分だった。

藤原景裕は大きな手をハンドルに置き、思考が少し散漫になっていた。

いつ念美を愛するようになったのかはわからない、おそらく幼い頃から村上佑城と遊んでいた時から、あのいたずらっ子に心を動かされていたのかもしれない。

冷静で、感情を表に出さなかったが。

結局、だんだんと我慢できなくなっていった。

結局、念美が自分を選んだのは一時の怒りからだったし、自分も少女の無謀さ、遊び心を理解していた。

……

藤原景裕は薄い唇を引き締めた、木村陽太については……

結局、人生はドロドロのドラマだ。

自分も考えたことがある、譲るべきかどうか、幼い頃から、自分は木村陽太が興味を持つものなら何でも彼に譲ることができた。

……

藤原景裕が去った後、村上念美は思いに沈み、一晩中眠れなかった。

翌日、念美はボスに起こされた。

おそらく藤原景裕がいないせいで、ボスは大胆に興奮して念美の胸に何度も寄り添ってきた。

「ワンワン」

村上念美:「……」

念美はボスが朝から非常に興奮している様子を見て、ようやく気分が良くなった。

「おはよう」

念美は素早く身支度を整えて階下に降りると、来春さんはすでに豪華な朝食を用意していた。

来春さんは藤原景裕の行方を尋ねなかった。念美は昨日来春さんが藤原家に戻った後の状況を尋ねたかった。

考えた末、やはり聞かなかった。

自分と藤原景裕の関係が明らかになった以上、藤原家を訪問するのは当然のことだ。

藤原家の状況は、その時に自分で体験すればいい。

……