景山大旦那様が提供した情報では村上念美を明確に指し示すことはできなかった。確かに村上念美と景山瑞樹は接触があったが、景山瑞樹は女好きで有名だし……
確かに判断は難しい。
そして……藤原景裕もこの時点で村上念美を巻き込みたくなかった。村上念美の評判や、藤原大旦那様の村上念美に対する見方に影響を与えたくなかったのだ。
藤原景裕は薄い唇を引き締め、軽く首を振って言った。「よく分かりません。それは景山様の私的な交友関係ですから、私は通常他人のプライベートには干渉しません」
景山大旦那様は藤原景裕が一度言ったことは変えないことを知っていたので、うなずき、隣の藤原大旦那様を見て愚痴をこぼした。
「藤原よ、あの孫がね、本当に腹が立つんだ」
藤原大旦那様は軽く鼻を鳴らし、「それもお前が甘やかしたからだろう……」と言った。
「それは……」
景山大旦那様は反論できなかった。確かにその通りだった。
当時、景山家は男系が少なく、自分は男の子が生まれれば軍に入り、景山家の名誉を輝かせてくれると思っていた。
しかし期待していたのとは裏腹に、生まれてきたのは不良で、一日も軍隊に行かず、毎日遊び歩く女好きの男になった。不良っぽい雰囲気で、正義感のかけらもない。
「見ればわかるが、この孫はこれまで遊びだったが……今回は本気だ……彼が初めて家に帰って、みんなの前で自分が好きな女性がいると言い、その女性が欲しいと言った。その女の子は私の興味を引いたよ」
藤原景裕は黒い瞳を細めた。隣の藤原大旦那様は平然と藤原景裕を見た。以前、村上念美が初めて村上家に戻った時、熊谷紗奈が自分の前で言っていた。
この村上念美と景山瑞樹が親しくしていて……一緒にパーティーにも参加していたと。
この景山じじいが言っているのは村上念美のことではないだろうか……
そう思うと、藤原大旦那様はすぐに話題を変えた。
「さあ、食事にしよう。私たち兄弟で心を通わせよう。若い者たちの面倒なことは話さないでおこう」
「そうだな、そうだな」
景山大旦那様は藤原大旦那様の言葉を聞いて、すぐにグラスを持ち上げて飲み始めた。
藤原景裕は付き合い、二人の大物が昔の戦争の面白い話を熱く語るのを聞いていた。小さい頃は、こういうことはよくあったことだった。
……