078 彼は自分の嫁を誘惑しようとしている

藤原社長室:

藤原景裕という厳しい師が傍で監督しているので、村上念美は当然怠けることはできなかった。

「村上氏では最近、職員の退職率がとても高いのですが、新しい職員を採用するには……どうすればいいでしょうか?引き抜きですか?」

村上念美は手を上げて額をこすりながら、傍らで報告書を見ている男性に相談した。

「必要ない。人件費のことを考えると、大学4年生を採用するといい。今はもうすぐ冬休みだし、4年生はあと半年で卒業する。この半年間は、ちょうど彼女たちの研修期間として使える。その後、能力のある人を選んで正社員にすればいい」

「それから、レイアに電話して、2ページ目のデータに問題があると伝えて。彼女には注釈をつけて説明してもらいたい」

村上念美:「……」

いわゆる一心二用というやつか?

財務部の報告書はほとんどが細かい数字で埋め尽くされていて、見るからに複雑だ。

彼は……それをとても注意深く見て、しかも正確に問題点を見つけ出し、さらに自分の質問にも答えている。

「わかりました」

村上念美は素早く内線電話でレイアに連絡し、2ページ目の財務報告書を再整理するよう伝えた。

……

藤原景裕の助けを借りて、村上念美は正午前に机の上に積み上げられた書類をすべて処理することができた。ただ、録音機に記録された内容はまだ整理する時間が必要だった。

「ありがとうございます、藤原さん。お時間を取らせてしまって」

藤原景裕は村上念美が明るく笑うのを見て、薄い唇を引き締め、淡々と言った。「私は主に藤原氏から村上氏への資金投入がどこに行ったのかを確認していただけだ……ついでにあなたを指導しただけだ」

「はい……」

「あなたは先日、安藤氏から3000万を騙し取ったでしょう……その中から1000万を、今日のコンサルティング料として頂くことにします」

なんですって?

村上念美の表情が変わると、藤原景裕はのんびりと言った。「どうした?嫌なのか?」

村上念美は心が痛むほど惜しかったが、それでも口元に笑みを浮かべた。「いいえ……」

藤原景裕は村上念美が心の痛みを必死に耐えている様子を見て、知らず知らずのうちに気分が良くなった。

「うん、村上念美、私は忙しいんだ……」

「では藤原さん、お見送りします」

「必要ない」