092 一度目があれば、二度目もある

藤原景裕のオフィス:

村上念美は目の前にある高価で精巧な包装の三箱のチョコレートを見つめ、何かに取り憑かれたように小さな手を伸ばしてゆっくりと三箱を開けた。

唇を軽く噛み、その後葱のように白い小さな手を伸ばして、三年前のチョコレートを一つ取り、口に入れた。

賞味期限が切れているけれど...

でも...まだ食べたい。

今の味を確かめてみたい。

それだけでなく、もし三年前に自分がこの箱のチョコレートを受け取っていたら、どれほど素晴らしいことだったかと思う。

村上念美は口元に苦い笑みを浮かべながら、チョコレートが口の中でゆっくりと柔らかくなるのに任せた。実際、チョコレートは長く保存されていたせいか、口に入れるとすぐに苦くなり始めた。

...

藤原景裕がオフィスに入ると、村上念美が事務椅子に座り、目の前にチョコレートを置いているのが見えた。女性の美しい瞳は澄んでいたが、心ここにあらずといった様子だった。

藤原景裕は眉を寄せ、それがオフィスの引き出しにあったチョコレートだと気づいた。

チョコレートが開けられ、一つ減っているのを見て、表情が少し変わった。

「吐き出しなさい。」

村上念美:「...」

藤原景裕の突然の出現、男性の気品ある顔立ち、心配そうな瞳を見て、村上念美の目は抑えきれずに赤くなった。

彼は一体どれだけのことを自分に隠していたのだろう。

チョコレート、お菓子...他にも?

村上念美は鼻をすすり、固く頭を振った。

「いや、食べたいの...」

期限切れだけど...食べたらお腹を壊すかもしれないけど、それでも食べたい。

食べれば、体は苦しむかもしれない、下痢になるかもしれない。でも食べなければ、自分の心が引き裂かれる。藤原景裕への謝罪の気持ちが大海のように押し寄せ、対処しきれない。

藤原景裕:「...」

村上念美の頑固さを見て、藤原景裕は手を伸ばして女性のあごを掴み、口を開けさせようとしたが、彼女は頑として口を開けなかった。

「早く吐き出しなさい、もう期限切れだ...食べられないよ。」

藤原景裕の声には焦りが混じっていた。村上念美に期限切れの食べ物を食べさせたことは一度もなかった。

「いやだ...」

藤原景裕:「...」