122 あの頃の事をまだ覚えているか_7

熊谷徹朗と渡辺愛美は二人とも顔色が悪く、病床に横たわっていた。顔は青白く、元気もひどく失せていた。

熊谷徹朗は物音を聞いて先に目を覚まし、木下麻琳と村上翔偉が来たのを見ると、急いで渡辺愛美を起こして言った。「見て、誰が来たよ...麻琳ちゃんと村上くんだよ。」

渡辺愛美はゆっくりと目を覚まし、来訪者を確認すると、すぐに嬉しそうに言った。「麻琳ちゃんね...」

「麻琳ちゃん、村上くん、どうしてここに来たの?」

木下麻琳は何と言えばいいか分からず、傍らの村上翔偉がその様子を見て急いで口を開いた。「熊谷大旦那様、奥様、実はこうなんです。藤原大旦那様に会いに来て、事件の進展について尋ねていたところ、お二人が病気だと聞いて、上がってきて様子を見に来たんです。」

熊谷徹朗と渡辺愛美はそれを聞いて、まさに顔から火が出るほど恥ずかしく感じた。

村上翔偉と木下麻琳がこんなに孝行心を持っているとは珍しいことだ。

はぁ...他の人だったら、きっと笑い話にするだけだろう。

それも喜んで見物して、見舞いなど絶対に来ないだろう。

「ありがとう...あなたたちは本当にいい子たちね...」

渡辺愛美は自ら手を伸ばし、かすれた声で言った。「おいで、麻琳ちゃん、こちらに座りなさい。」

「はい。」

木下麻琳は病弱そうで白髪頭の渡辺愛美の姿を見て、断る気になれず、歩み寄って渡辺愛美の側に座った。

「どうかお体を大事になさってください。怒りで体を壊さないでください。」

心の中にはまだ少し恨みがあったが、結局は残酷な言葉を口にすることができなかった。かつて非常に尊敬していた年長者に対して、より多くの気遣いがあった。

「わかっているわ...ありがとう、麻琳ちゃん。あなたは私を恨んでいないのね、それだけで私の心は満足よ。だって、私はあなたに申し訳ないことをしたから。」

木下麻琳:「...」

実際、今さら申し訳ないとか、申し訳なくないとか言っても遅いのだ。

結局、すべては既に起こってしまったことだから。

「うん。」

「私も報いを受けたわ...はぁ、一生涯、良心に背くことなどしてこなかったのに、ちょっと良心に背くことを考えただけで、こんな報いを受けるなんて。」

木下麻琳は渡辺愛美の言葉の意味が何なのかを理解していた...