堇顔

　藤原景裕と村上家の三女・念美は、誰もが知る幼なじみ。
　彼は幼い頃から彼女を溺愛し、婚約に至るのも当然の流れだった――はずが、念美は突然その婚約を破棄し、別の男性のもとへ海外へと旅立ってしまう。
　それから三年。
　念美が再び日本に戻ってきたとき、彼女はなんと藤原に「結婚して」と迫る。
　世間は騒然、「あの女はすぐに捨てられるに違いない」と噂が飛び交う。
　だが誰も知らなかった。藤原景裕がずっと前からすべてを仕組み、綿密に張り巡らせた罠によって彼女を呼び戻し、迎え入れ、そして――一生のぬくもりを与えると決めていたことを。

✦ 主人公同士は心も身体もピュアな1対1！
✦ 強い女×強い男、浮気もクズも一切ナシ！
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✦ ひたすら甘くて深い、極上の溺愛ラブストーリー！

愛は策略の中に

なるほど、彼女が先ほど夏目のことを言っていたわけだ。


どうやら、この夏目家の家庭内の問題も複雑なようね。


「そうよ、福子、大叔母に謝りなさい。これはママの過ちよ、ママはさっき歩いていて少し気が散っていたの。」


伊東文の性格は争いや騒ぎを好まず、心臓もずっと良くなかったため、あまり興奮するのに適していなかった。


だから夏目家に嫁いできてからは、大叔父と大叔母に対しても争わないようにしていた。


村上念美は美しい瞳を少し顰めた。これは夏目家の問題であり、自分は部外者だから確かに介入できない。


結局、この子はまだ18歳なのに、こんな意地悪な人に対応するのは大変だろうな。


彼女のお母さんも、性格が穏やかなタイプだし...


どうやら、彼らの家族は、この大叔父と叔母のいじめをよく我慢しているようだ。


夏目愛子は軽く鼻を鳴らし、先ほどの愛らしさとは別人のように、小さな口をもぐもぐさせながら、目の前の吉田英子を嫌そうに見た。


さっきも夏目奈々が自分に嫌がらせをしてきたのに、今度は彼女を差し向けてきたのか。


この一家は本当に気持ち悪い。


「大叔母さん！私のお母さんの性格はあなたもよく知っているでしょう。普段どれだけ慎重な人か、どうしてあなたにぶつかるなんてことがあるの...あなたを見たら避けるのに精一杯なのに。」


「それに、私たちの家族があなたのものを食べたり使ったりしているって何よ。この夏目家はここ数年ずっとパパが切り盛りしてきたのよ。大叔父は会社にほとんど行ったことがなくて、年末の配当金や株主総会の時だけ行くだけじゃない。感謝するどころか、パパの兄と兄嫁という立場を利用して...ただ座って成果を享受し、夏目氏は祖父が夏目家の長男に残したものだとか言って。」


128 老夫少妻、体がもたない_4