「景山様、ありがとうございます。」
相馬紗奈は満足げに唇の端を上げ、小切手に書かれた六桁の数字を見て、密かに感嘆した。この景山様は本当に太っ腹だ。
なんて魅力的なんだろう...
ツツツ。
最初はただこの男性が見た目がいいだけだと思っていたけど、今は...超魅力的だわ。
「ええ、では失礼します。」
景山瑞樹は景山大旦那様が自分を呼んでいるのを見て、素早く景山大旦那様のいる方向へ歩いていった。
...
景山瑞樹が去った後、相馬紗奈はバッグから既に用意していた赤い封筒を取り出し、小切手をその中に入れた。
赤い封筒の中には、景山瑞樹が今渡した小切手の他に、相馬紗奈自身が用意した小切手もあった。
「ほら...あなたへの...婚約おめでとう。」
木村陽太の黒い瞳が驚いたのを見て、相馬紗奈は口角を上げた。
「遠慮しないで。私がこんなに気前がいいのは珍しいの。あなたが長年私に高い報酬をくれたことを考えると、それにこのお金は騙し取ったものだから...そんなに惜しくないわ。」
木村陽太はそれを聞いて唇を上げ、相馬紗奈から受け取った。
「ありがとう。」
思いがけず...この景山瑞樹が助けになったな。
「どういたしまして...」
この三年余りで、木村陽太は自分にとって単なる雇い主ではなく、むしろ友人のような存在になっていた。
ただ彼の村上念美への愛深さだけでも、尊敬に値する。
古来より、千金をもってしても深い愛情には代えがたい。
「ところで、気になることがあるんだけど、さっきの景山瑞樹についての判断は、どこから根拠を得たの?私が知る限り...彼が念美を好きだということは、あなたは知らないはずだけど。」
相馬紗奈:「...」
なんて言い方。
相馬紗奈はにこやかに口角を上げ、「言動を観察しただけよ。」
「あなたが彼を景山家の若旦那として紹介したわ。まあ、私は初めてここに来たばかりで、景山家については何も知らないけど、あの景山様の派手な様子を見れば、彼が実力のある男性だということは分かるわ。つまり、財力があるってことね。」