堇顔

　藤原景裕と村上家の三女・念美は、誰もが知る幼なじみ。
　彼は幼い頃から彼女を溺愛し、婚約に至るのも当然の流れだった――はずが、念美は突然その婚約を破棄し、別の男性のもとへ海外へと旅立ってしまう。
　それから三年。
　念美が再び日本に戻ってきたとき、彼女はなんと藤原に「結婚して」と迫る。
　世間は騒然、「あの女はすぐに捨てられるに違いない」と噂が飛び交う。
　だが誰も知らなかった。藤原景裕がずっと前からすべてを仕組み、綿密に張り巡らせた罠によって彼女を呼び戻し、迎え入れ、そして――一生のぬくもりを与えると決めていたことを。

✦ 主人公同士は心も身体もピュアな1対1！
✦ 強い女×強い男、浮気もクズも一切ナシ！
✦ ドロドロや無理な虐待描写ナシ！
✦ ひたすら甘くて深い、極上の溺愛ラブストーリー！

愛は策略の中に

肌は白くて繊細で、うーん、雰囲気は別として、確かに童顔で、とても若々しい。


相馬紗奈はすぐに景山瑞樹が自分を品定めしていることに気づいた。


相馬紗奈は鳳眼を細めて、自分の前でだんだん大きくなる端正な顔を見つめた。うーん、両足に力を入れようとしたが、抑えられてしまった。


自分の両手も、男に制御されていた。


つまり、この男は武術の心得があるということだ。


相馬紗奈の鳳眼は水のように艶やかで、そして淡々と口を開いた：「景山様、あなたのその行為は、紳士的とは言えませんね。」


景山瑞樹の唇の端が少し上がり、ますます邪悪な笑みを浮かべた。


相馬紗奈は男の体から漂う淡いムスクの香りさえ嗅ぐことができた。


「俺は...自分が紳士だとは思ったことがない。紳士な人間がどうして不良のようなことができるだろうか？」


ふん...噂通りの人物だ、不良そのものだな。


「そういえば...相馬紗奈、なぜ俺があなたと結婚したくないと確信しているんだ？うーん、あなたの容姿は女性の中でも上位だし、俺も普通の男だ。」


男の薄い唇が開くにつれて、熱い息が首筋に吹きかけられ...その熱さで肌がかゆくなるような感覚。


この男は本当にもう十分だ。


「あなたが好きな相手は私ではなく...別の人だから...さっき、私たちは彼女と一緒にいたじゃない。」


相馬紗奈の言葉は平淡だったが、核心的な問題を鋭く指摘した。


ふん...この女は本当に面白いな。


景山瑞樹は相馬紗奈の反応にとても満足していた。


景山瑞樹は満足げに唇の端を上げ、姿勢を正した。


「すまない、失礼した...相馬先生、君には満足している...さっきの君の呼吸は安定していて、うーん...俺に少しも興味がないように見えた。」


この時代、自分に心を動かされない女性は...ごくわずかだ。


相馬紗奈は間違いなくその一人だ。


こんな女性と付き合えば、自分の無数の面倒事が省けるだろう。


「君と協力して、大旦那様のお見合い話を解決できることを光栄に思う。」


この男は...猿回しでもしているのか？


138 紳士も流氓になれる_4