138 紳士も不良になれる_3

景山瑞樹は世界中の人と対立することができるが...

しかし、景山大旦那様に対しては手を出せない。

普段は大旦那様を怒らせることはできても、本当に大旦那様を激怒させるのは忍びない。

結局、大旦那様も80歳の人だ。

相馬紗奈は景山瑞樹の眉をひそめる様子を見て、密かに思った。この男は表面上の邪悪さや不真面目さだけではないのだと。

「景山様は何か良い提案をお持ちですか?」相馬紗奈から切り出した。

景山瑞樹はそれを聞いて首を振った。自分に良い提案があれば、相馬紗奈を頼ることもなかっただろう。

家庭の問題を処理するのは、当事者は迷い、傍観者は冷静というものだ。

相馬紗奈は口角を上げ、車が安定して走るのを見ながら言った。「ちょうど私にはアイデアがあります...」

「聞かせてくれ」

「はい、私は沢田家の件が終わったらシアトルに戻ります。可能であれば、ほとんど国に帰らないつもりです。だから...距離がすべての問題を解決できると思います」

景山瑞樹はそれを聞いて眉を上げた。これは良いアイデアだ。

相馬紗奈が国内にいなければ、大旦那様がいくら結婚を迫っても、何も強制できないだろう。

相馬紗奈は鋭い目を細め、景山瑞樹の満足げな表情を見て、続けて言った。「でも、私も景山様にお願いがあります」

「ん?」

「私のために...沢田家を潰してください。沢田家の人々の末路を見ないと、安心して去ることができません」

相馬紗奈が景山瑞樹をターゲットにした理由。

自分に沢田家を倒す能力がないわけではないが、ここはシアトルではなく、沢田家のさまざまな問題を処理するには人的・物的リソースが必要だ。

彼女はあまり多くの時間を費やしたくなかった。

だから...目の前の男と互いに必要なものを得る。

彼が沢田家の問題を解決し、彼女は立ち去る。

うん、この幼馴染みの婚約の件は、自然と立ち消えになるだろう。

景山瑞樹は相馬紗奈の美しい瞳の中の鋭い光を見逃さなかった。鷹のような黒い瞳には暗い光が満ちていた。

なんと賢い女だ。

巧みな力の使い方を知っている。

彼女はどうせ沢田家と対決しなければならない。

うん、自分は幼馴染みの婚約を解決したいなら、彼女がすぐにシアトルに戻ることを望んでいる。

だから...この問題は自分の頭に降りかかってきた。

本当に損をしないな。