事態が逆転した

「くそっ！」

ほんの少し冒頭を見ただけで、お爺さんは怒りで携帯を投げ捨てそうになり、目は真っ赤に充血して人を殺したいほどだった。

これは彼が幼い頃から手のひらに乗せて大切に育てた可愛い孫娘で、彼でさえ一言も叱ることができなかった。

あの鬼畜どもがよくもこんな風に彼女を傷つけるとは、許せない！

「本当ですよ！あんな酷いことして、信じられません！」福田さんも怒りを隠せず、拳を震わせていた。

「おじいちゃん、福田おじさん、そんなに怒らないで。あの動画、私がアップしたの。反撃は、まだ始まったばかりだから」

青木朝音は冷静にキャンディーを舐めながら、まるですべてが掌握されているかのようだった。

遊びたいのなら、とことん付き合ってあげる！

「孫よ、いつ殴られたんだ？なぜおじいちゃんに言わなかったんだ。ケガしてないか？どこだ、見せてみろ！」

お爺さんは心配のあまり泣きそうになり、青木朝音の服をめくろうとした。あまりに焦せってしまったのだ。

「大丈夫だよ、おじいちゃん。背中に少し傷があるだけで、もう全然痛くないし」

彼女は確かに先日殴られたが、正確に言えば、殴られたのはあの侵入者だった。

彼女は地面に伏せて頭を守っていたので、基本的に背中を殴られただけだった。あれから10日が経過し、ほぼ治っていて、もう痛くなかった。

同時に、ツイッターでは。

青木朝音が殴られる様子を見て、多くのネットユーザーは溜飲を下げたかのように反応していた。「よくやった」「ああいうクズ女はぶん殴って当然」「スカッとした」と口々に罵る。

だがすぐに、ある事実に気づいたユーザーがいた。動画の撮影日が「10日前」となっていたのだ。

一方、青木朝音が妊婦を殴ったのは7日前のことだった。

つまり、青木朝音はまず妊婦を含む複数人に集団暴行され、3日後に彼女が妊婦を殴りに行ったということだ。

これは一体どういう状況なのか？

ネットユーザーたちは、混乱した。

ネット上の情報によれば、青木朝音は何度も妊婦の田中沙沙（たなか　さしゃ）の夫である吉田択哉（よしだ　たくみ）を誘惑しようとしたという。

しかし吉田択哉は動じず、自分には家庭があると何度も断っていた。

「妻が大事で、絶対に浮気はしない」と強調するその姿が、「誠実な男」として称賛された。

そして、拒絶された青木朝音は恥ずかしさと怒りで、吉田択哉の妻に関する情報を様々な方法で探り、田中沙沙の会社の前で二日二晩も待ち伏せしたという。

田中沙沙を見つけた瞬間、青木朝音は狂ったように彼女に突進した。

異常なほど乱暴に田中沙沙の髪をつかみ、何度もビンタした後、田中沙沙を地面に押し倒した。

後半の暴行シーンはビデオがあり、動かぬ証拠で、否定することはできなかった。

しかし今、青木朝音も最初に暴行を受けていたことが判明した。

ビデオを見ると、田中沙沙の顔には悪意と残忍さが表れており、普段の弱々しく無力な姿とはまったく違っていた。

自分が妊娠していることを知りながらも、少しも注意せず、非常に残酷な手段で攻撃していた。

田中沙沙はもともと小規模なインフルエンサーで、ツイッターのフォロワーはわずか10万人ほどだったが、今や人気が急上昇し、一気に100万人を突破し、夫の吉田択哉も数十万人のフォロワーを獲得した。

吉田択哉は外見がまあまあ良く、良い夫のイメージを成功裏に作り上げたため、多くの女性ファンを獲得し、エンターテイメント業界に進出する可能性が高かった。

そして青木朝音は...…彼の踏み台だった。

しかし、青木朝音が殴られるビデオもネットにアップロードされるとは予想外だった。でも、このビデオは何も証明できなかった。

田中沙沙はすぐにツイッターに投稿した—

【皆さんの心配をありがとうございます。赤ちゃんは失ってしまいましたが、悲しいですが、体を回復させて再び立ち上がります。多くの方から聞かれた「なぜあの女性を殴ったのか」について、ここでまとめてお答えします。

彼女が私の夫を誘惑している現場を私が見てしまい、しかも私と赤ちゃんを呪いの言葉で脅してきました。「お前もお腹の子も地獄へ落ちろ」「生まれても奇形児になれ」「輪姦させてやる」など……。当時、私の友人たちも一緒にいました。信じられないなら彼女たちに聞いてみてください。

おそらく怒りが激しすぎて、私たちは手を出してしまいました。後で冷静になってから、実は彼女に謝ろうとも思いましたが、適切な機会がなかったのです...】