第23章 ピアノの巨匠を打ち負かし、男主人公の登場(7)

青木朝音:「……」

なんだか誰かが意図的に私の豆腐を食べているような気がする!でも証拠が不十分だ。

誰も気づかない隅で、ある人がこっそりと指をつまんでいた。

牛乳のように滑らかで柔らかい感触が、まだ指先に残っているようだった……

漆黒の瞳の奥に光と影が揺れ動き、呼吸さえも微かに荒くなる傾向があり、それに伴って心も少し激しく動揺していた。

あの感覚は……なんてすごいんだ。

あの子の手は……どうしてあんなに綺麗で、あんなに柔らかいんだろう。

まさに致命的な誘惑だ。

正直に言うと、彼は数え切れないほどの美しい手を見てきた。男性も女性も。しかし、せいぜい二度見する程度で、越権行為をしたことは一度もなかった。

今日のように制御を失ったことはなく、心臓が早鐘を打つような窒息感さえあった。