「私はでたらめなんて言ってないわ、事実よ」
青木誠司が青木愛茉を見る目にも誇らしげな様子が見えた。これに愛茉はますます、あの卑しい朝音に自分の栄光を奪われるわけにはいかないと感じた。絶対に!
「そういえば、姉さんに会ったの。彼女もピアノ曲を作曲して、長谷おじさんに売ろうとしたんだけど、結果は...」
深井蓉悠は急いで話を引き継いだ。「え?彼女もあなたを真似て作曲を始めたの?彼女の作品はどうだった?長谷さんは満足したの?」
深井蓉悠から見れば、朝音はただの無能で、作曲した曲はきっとひどいものだろう。ちょうどこの件を利用して彼女を打ち負かしてやろうと思った。
青木誠司は精神が高ぶり、驚きを隠せなかった。「まさか?朝音も作曲ができるの?」
しかし予想外にも、青木愛茉は突然眉をひそめ、心配そうにため息をついた。「あぁ、あの曲は悪くなかったんだけど、でも...」