麗水ベイタウン。
「どうやらアオピエは本当に引っ越したみたいだね?もう丸一日も現れないなんて、なんだか変な感じがするよ。」
向井涼太は厳谷究の洗脳の下で、自分の肉体を捧げて青木朝音を追いかける決心をしていたのに、彼女が逃げてしまったことで、喜ぶべきか落胆すべきか分からなくなっていた。
「彼女が契約は無効だと言ったんだから、今日からは自由の身だ。」
厳谷究は嬉しくて裸で走り回って祝いたいくらいで、特別にメイドに今日は大掃除をするよう指示し、ようやく別荘の内外にある青木朝音の痕跡をすべて取り除くことができた。
「ああ、俺たちって酷すぎたんじゃないか?一応名目上は俺たちの婚約者だったのに、毎日見下して、冷たい態度を取って、あんな風に罵ったりして。俺だったら怒って引っ越すよ。」