この二日間、北川信望は夜更かしして作詞作曲をしていた。ある方が時々電話をかけてきて催促する。「できたか?」
北川信望は不思議に思った。これまで彼が作詞作曲をしているとき、あの方がこんなに気にかけることはなかったし、彼の歌さえほとんど聴いたことがないようだった。
「そう簡単にはいかないよ。まだまだかかるよ。」
北川信望はスピーカーフォンを押し、疲れた様子で眉間をつまんだ。目の周りのクマはひどく、足元には丸めて捨てられた紙くずが山のように積もっていた。
「ねえ松陰様、あんたはそんなに母...あの子に会いたいの?彼女とデートしたいなら、直接電話すればいいじゃん。契約書に彼女の電話番号が残ってるんだから。」
北川信望は太陽が西から昇ったような気がした。以前は古川松陰がどの女の子にもこれほど熱心だったことはなかった。おそらく彼が関心を持っているのは...あの美しい手だけかもしれない?