第41章 私は一中に転校します

「ひっ——」

周囲から次々と息を呑む音が聞こえ、皆が一様に目を見開いて、信じられないという表情を浮かべていた。

「マジかよ、目の錯覚じゃないよね?青木朝音が一撃で不良をKOしたの?」

「あれは風のように颯爽として、戦闘力抜群で、誰も手を出せない小悪魔の深井鷹行だぞ、まだ始まってもいないのに倒れたの?これはこれは…………」

「うわっ!まさかそんな技を!」

深井鷹行は顔を泥だらけにして地面から立ち上がり、最初にしたことは鏡と櫛を取り出して、自分のかっこいい短髪を整えることだった。

頭は切れても、髪型は乱れてはならない。

実は昨日リングで少しひどく殴られ、今日も顔の青あざはまだ消えていなかったが、それでも彼の雰囲気には全く影響していなかった。

「見てよ、その派手な様子」青木朝音は一言皮肉を言うと、そのまま歩き去った。

「ちょっとちょっと、朝音さん、待ってよ」

深井鷹行は素早く鏡と櫛をしまい、ぺこぺこと彼女の後を追いかけ、顔には媚びへつらう笑顔を浮かべていた。これに周りの人々は目玉が飛び出るほど驚いた。

「な、なんだこれ?不良はもしかしてマゾなの?青木朝音が一撃で彼をおとなしくさせたの?」

「やばい、この二人、何か怪しい関係があるんじゃ…でも、青木朝音がどうしてあんなにカッコよくて美しくなったんだろう。私たち、前に彼女を誤解してたんじゃないかな。あんな風なら、誰かに擦り寄る必要なんてないでしょ。きっと彼女を誘惑する人がたくさんいるはず」

「そう言われると、私も彼女を誘惑したくなってきたわ。でも私はブスだから無理ね。彼女はイケメンしか好きじゃないって聞いたし、はぁ~~~ママ、恨むわ!」

……

深井鷹行は青木朝音に一発の背負い投げでKOされても、少しも不満を言わず、彼女の後ろについて一緒に教室へ向かった。

二人は同じクラスで、学校で最も問題のあるクラスだった。全員が勉強をしない不良ばかりだった。

職業高校には5つの大学受験クラスしかなく、例えば青木朝音のいるCクラスも元々は大学受験クラスだったが、10日前に大学受験資格を取り消された。

それはこのクラスがあまりにもひどすぎたからだ。

泥棒を壁に立てかけることはできず、大学受験の資格さえも失ってしまった。