第71章 魔王あさねを偽る者

青木朝音はわざわざ食堂の外に行って後藤雪夜のために栄養食を買ってきたが、途中で土屋萱たちに出会った。しかし、彼女たちは鬼でも見たかのように、青木朝音を見るやいなや即座に引き返し、息をするのも恐れているようだった。

青木朝音は少し不思議に思った。そんなに怖がらせたのだろうか?

しかも、ここ数日は何事もなく平穏で、彼らが警察に通報したり報復したりする様子もなく、まるで前回の出来事がそのまま立ち消えになったかのようだった。

疑問は疑問として、青木朝音はそれ以上考えなかった。どうせもうすぐ職業高校を離れるのだから、あの連中が生きようが死のうが彼女には関係なかった。

寮に着くと、青木朝音は後藤雪夜がベッドで憂鬱そうに横たわっているのを見て、彼女の頭を撫でながら言った。「安心して、あなたも第一高校に行けるように方法を考えるわ」