青木朝音はわざわざ食堂の外に行って後藤雪夜のために栄養食を買ってきたが、途中で土屋萱たちに出会った。しかし、彼女たちは鬼でも見たかのように、青木朝音を見るやいなや即座に引き返し、息をするのも恐れているようだった。
青木朝音は少し不思議に思った。そんなに怖がらせたのだろうか?
しかも、ここ数日は何事もなく平穏で、彼らが警察に通報したり報復したりする様子もなく、まるで前回の出来事がそのまま立ち消えになったかのようだった。
疑問は疑問として、青木朝音はそれ以上考えなかった。どうせもうすぐ職業高校を離れるのだから、あの連中が生きようが死のうが彼女には関係なかった。
寮に着くと、青木朝音は後藤雪夜がベッドで憂鬱そうに横たわっているのを見て、彼女の頭を撫でながら言った。「安心して、あなたも第一高校に行けるように方法を考えるわ」
後藤雪夜の暗く光のない瞳が、パッと輝いたかと思うとすぐに消えた。「私の成績はひどすぎるから、入れるわけないよ」
「方法があるって言ったら、あるのよ」青木朝音の口調は反論の余地がなかった。
「やめておこうよ。これからは私のことを忘れなければそれでいい。それに、私が第一高校に行ったとしても、大学に合格できるとは思えないし」
後藤雪夜は本当に彼女に迷惑をかけたくなかった。それに、青木朝音が第一高校に転校しようとするだけでも大変な苦労があるだろうに。
青木朝音は再び彼女の頭を撫でた。後藤雪夜は非常に満足そうに目を細め、頭を彼女の手のひらにすり寄せた。見ていると、彼女がますます青木朝音に依存するようになっていることがわかった。
「私がいる限り、あなた自身も頑張るなら、きっといい大学に合格できるわ。信じる?」と青木朝音は尋ねた。
後藤雪夜は考えることなく激しく頷いた。「もちろん信じるよ、私はあなただけを信じる」
「いい子ね、私からの良い知らせを待っていて」
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帝都。
魔王あさねのあの試験用紙は、何度か転々とした末、どういうわけか第九高校の高橋文雄校長の手に渡った。試験用紙を見終わった高橋校長と帝都数学協会の幹部たちは、皆感嘆の声を上げた。
残念ながら、この魔王あさねはあまりにも謎めいていて、各省の数学協会が人を探しているが、今のところ全く手がかりがないという。