第72章 打脸が速すぎて対応できない

「参考書になんて大げさに驚くことないわよ」高橋文雄は彼を横目で見た。

「あなたたちは魔王あさねを探しているんじゃないの?この本は彼女が直接出したものよ」

「おや?早く見せてごらん」

高橋文雄の輝く瞳が一瞬きらめき、まず松本千雅を見てから、素早く参考書を受け取った。

ただ何気なくページをめくっただけで、瞳孔が急激に縮み、信じられない様子だった。

「なんてこった、この魔王あさね...いや、松本さんは本当に数学の天才だね。私のような数学教授でさえ及ばない。この参考書さえあれば、誰でも高得点が取れるだろうね」

「え?魔王あさねは松本さんなんですか?でも私が聞いたところでは...魔王あさねは今、権州第一高校にいるはずですが?」

その人は疑わしげに眉をひそめ、松本千雅を見てから続けた。「それに、この参考書は限定販売で、権州第一高校の生徒だけが優先的に購入できると聞いています」