この言葉を聞いて、青木朝音はペンを止め、ようやく顔を上げて上野先生を見た。表情は困惑していたが、なぜか非常に傲慢で悪そうな印象を与えていた。
「こんな簡単な問題を、いい加減に解く必要がありますか?」
「何だって?簡単だって?」
上野先生は一瞬呆然とし、すぐに激怒して、思わず笑ってしまった。
「ふん、問題も見ていないんじゃないか。今回の試験問題は我が国のすべての数学協会が共同で作成したもので、中には大学の教師でも解けない問題もあるんだぞ。それを簡単だと言うとは、まったく笑止千万だ!」
ところが、青木朝音は非常に呆れた目で彼を一瞥し、いらだたしげに手を振った。「ちっ、子供だまし。」
そう言うと、すぐに頭を下げ、再び嵐のような速さで試験問題に取り組み始めた。
ペン先が試験用紙の上でサラサラと音を立てる様子は、とても真剣に問題を解いているようには見えなかった。
集中して問題を解いていた厳谷君彦も、この時、思わず横を見て、彼女の解答スピードに驚いた。最初は驚き、すぐに眉をひそめ、嫌悪感を示した。
こんな人間がどうやって試験会場に入り込んだのだろう?
彼女の様子を見れば分かる。きっといい加減に書いているだけで、今回のコンテストを全く真剣に受け止めていない。
重要なのは、彼女が大言壮語を吐いていることだ。今回のコンテストの問題を子供だましだと?簡単だと?
ふん、本当に色んな人がいるものだ。
しかし彼は他人のことを気にする暇はなく、問題を解くことが先決だった。
主に、いくつかの問題は本当に難しすぎて、彼は頭をひねり、何度も計算を繰り返しても、正しい答えを確認することができなかった。
「よし、では君が解き終わるのを待とう。一体何を書いているのか、見せてもらおうじゃないか。まったく腹が立つ!」
上野先生は心臓発作を起こしそうなほど怒り、胸が激しく上下し、顔を引き締めて席に戻り、保温ボトルを手に取って大きく一口お茶を飲み、ようやく少し落ち着いた。
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40分後。
青木朝音は所要時間の半分も使わずに全問を解き終え、見直しもしなかった。
椅子を蹴って立ち上がり、バッグを手に取り、試験用紙を上野先生のところへ持っていった。「提出します。」