満点とはどういう概念なのか、彼はただ考えるだけで冷や汗が出た。
あんなに難しい問題で、彼でさえ120点ちょっとしか取れなかったのに、魔王あさねは150点満点を取ったばかりか……
彼はその答案用紙を見る機会があったが、その場で驚愕し、今でもまだ立ち直れないほどだった。それはまだ信じられないほどだった。
まさか誰かの解法がこんなにも巧妙で独創的だなんて、しかもそれが女子生徒だなんて。彼のような所謂数学の天才でさえ、頭を下げて自分の不甲斐なさを認めるしかなかった。
魔王あさね……
彼はこの名前を何度も何度も口の中で噛みしめた。しかし、聞いたこともない名前だった。上野先生の話によると、彼女は職業高校の生徒だという?
そんなはずがない!
一体誰なんだろう?
ただ、魔王あさねが数学の参考書を出版したばかりだと聞いて、彼はそれを買って研究しようと思っていた。