満点とはどういう概念なのか、彼はただ考えるだけで冷や汗が出た。
あんなに難しい問題で、彼でさえ120点ちょっとしか取れなかったのに、魔王あさねは150点満点を取ったばかりか……
彼はその答案用紙を見る機会があったが、その場で驚愕し、今でもまだ立ち直れないほどだった。それはまだ信じられないほどだった。
まさか誰かの解法がこんなにも巧妙で独創的だなんて、しかもそれが女子生徒だなんて。彼のような所謂数学の天才でさえ、頭を下げて自分の不甲斐なさを認めるしかなかった。
魔王あさね……
彼はこの名前を何度も何度も口の中で噛みしめた。しかし、聞いたこともない名前だった。上野先生の話によると、彼女は職業高校の生徒だという?
そんなはずがない!
一体誰なんだろう?
ただ、魔王あさねが数学の参考書を出版したばかりだと聞いて、彼はそれを買って研究しようと思っていた。
「そういえば君彦、一体誰が一位を取ったの?あなたを超える人がいるなんて、どれだけ凄いんでしょうね。」
青木愛茉はそう言いながら、厳谷君彦と一緒に教学棟を出た。同時に心の中では疑問に思っていた。厳谷君彦よりも良い成績を取る人がいるなんて、どこの学校の人だろう、きっと男子に違いない。
おそらく帝都第九高校だろう?
結局、帝都はあちらは人材の宝庫で、あちらの第九高校はこちらの一高よりも教育レベルが高い。厳谷君彦より優れた人がいても不思議ではない。
「隣の職業高校の生徒だと聞いたよ。残念ながら仮名を使っていて、魔王あさねという名前だ。」
思い返せば恥ずかしいことに、当時彼は魔王あさねの解答スピードが驚くほど速いのを見て、心の中で彼女を嘲笑していた。
彼女がいい加減に問題を解いていると思っていたが、まさか彼女が簡単に満点で一位を取るとは。
「え?隣の職業高校?そんなはずないでしょ!職業高校に参加資格があるかどうかはさておき、職業高校のあの成績を見れば、毎回のテストで高得点を取る人は一人もいないし、将来三流大学に入れるかどうかも問題なのに、何か間違いじゃない?」
「それは分からないよ。とにかく彼女は答案用紙に隣の職業高校の名前を書いていた。数学協会の人たちは総出で彼女を探しに行ったけど、見つけられるかどうかは分からない。」