第84章 母上様とクラスメイトになった

F組。

担任の先生が二人の女子生徒を連れて教室に入ってくると、それまでの騒がしさが一瞬で静まり返った。みんなが二人を品定めするように見つめ、特に男子生徒たちは青木朝音を見た途端、一人残らず目を見開いて驚嘆した。

「うわ、俺たちのクラスに仙女が転校してきたの?」

「なんか見たことあるような気がするんだけど...どこかで会ったことあるような...」

一方、女子生徒たちの目には敵意が満ちていた。青木朝音を認識した者がいて、すぐに嫌味たっぷりに言った。「あれ、職業高校の青木のバカ女じゃない?なんで私たちのクラスに来たの?」

「え?どの青木のバカ女?まさか...うわ、変わりすぎじゃない?それに前に学校から退学させられたんじゃなかった?どうして今また戻ってきたの?」

「はぁ、言うまでもないでしょ?お金で裏口入学したに決まってるじゃん。やっぱり金持ちは違うわね。退学になった人がまた戻ってこられるなんて初めて聞いたわ」

数人の女子が熱心に嘲笑している最中、彼女たちの背後から鋭い視線が刃物のように飛んできていることに気づいていなかった。その視線は可愛らしくも怒りに満ちていて、彼女たちを千切りにしたいとでも言わんばかりだった。

ふん、俺の青木龍一の母上様を、お前たちごときが中傷していいと思うのか?身の程知らず!

しかし、すぐに北川麟兎の顔から敵意が消え、急に花が咲いたように明るくなった。彼の目は無数の光で満ちているようで、その輝く瞳には深い驚きと信じられない喜びが溢れ、興奮のあまり息もできないほどだった。

わぁぁぁ、母上様とクラスメイトになれるなんて!

なんてこと、夢を見ているんじゃないだろうな?

「ねえ、ちょっと摘んでみて」麟兎は隣の席の生徒に言った。

隣席の眼鏡をかけた男子は少し恥ずかしそうに「え?なんで?」と聞き返した。

「いいから、摘めって言ったら摘んで」

「あ、はい」

男子は素直に従い、おとなしく手を伸ばして麟兎の腕を強く摘んだ。麟兎は「いてっ」と声を上げたが、顔の笑顔はさらに輝いた。

夢じゃない、本当だ。

彼は本当に母上様とクラスメイトになったのだ。

今は祈るだけだ、もし母上様と隣同士になれるなら、寿命が十年縮んでもいい。

そのとき、二人が自己紹介を終えると、まるで神の助けのように木村先生の穏やかな声が響いた: