蘭の花に丁寧に水をやっていた北川和蒼は、母上様がグループに入ったと聞くと、すぐさま最速でWeChatグループにログインした。
紅包(お年玉)を奪い取る気もなく、直接メッセージを送った。【ようこそ。】
北川蒼涼は仕事中で、サインすべき書類の山に追われ、てんてこ舞いだった。アシスタントの報告を聞きながら、「芦田映像制作会社が撮影予定の映画は、投資家がすでに次々と撤退しています。さらに、芦田映像制作会社の次のプロジェクトも恐らく中止になるでしょう」
北川蒼涼は空き時間に顔を上げて彼を見つめ、声に冷酷さを滲ませた。「芦田家を監視し続けろ。芦田映像制作会社をこの業界から追い出してやる」
彼の母上様をいじめ、さらには青木氏を破産させると大言壮語する者には、北川蒼涼が容赦しないことを知らしめるべきだ。
「そうそう、青木氏が新しい大型ゲームを開発していると聞いたが、多額の資金が必要だろう。私の名義で直接2億を投資しよう。この件は君に任せる」北川蒼涼の出費は非常に気前が良かった。
アシスタントは驚いたが、余計な質問はせず、丁重に頷いた。「かしこまりました、青木社長にお伝えします」
そのとき、机の上の携帯電話が鳴った。WeChatのメッセージだと気づいたが、普段なら無視するところだった。しかし、母上様は自分のWeChatの友達だから、もしかしたら彼女からかもしれない。
そこで即座に手元の仕事を中断し、素早く携帯を手に取り画面をスライドさせ、WeChatを開いた。しかしグループメッセージだと分かり、少し落胆したが、それでも開いてみた。
そして北川倫慶と同じように驚愕した。
ちょうどそのとき、青木朝音が話し始めた。
青木朝音:【紅包ありがとう。】
北川麟兎:【いえいえ。】
北川倫慶はこの状況を見て、すぐにそわそわしながら紅包を送った。本当は大きな額を送りたかったが、制限があり、一度に最大200元しか送れなかった。
そこで10回連続で送り、次々と届く紅包に青木朝音は困惑した顔をしたが、それでも受け取った。
青木朝音:【そこまで歓迎しなくても大丈夫ですよ?紅包はもう十分もらいました、ありがとう。】
言葉が終わるか終わらないかのうちに、北川和蒼と北川蒼涼からの紅包の雨も降ってきた。
青木朝音:【……】
この家族は紅包狂なのか?