第200章 商売が繁盛し始めた

青木朝音は翌日も授業をさぼり、朝早くから竜野艶子の店に来て、半日忙しく働き、大鍋一杯の牛肉ソースを煮込んだ。その香りは濃厚で素晴らしく、向かいの串串香の香りを完全に上回り、その香りを嗅ぐだけで人の口に唾液が湧いてきた。

「なんてこと、この香りは何?あまりにも香ばしすぎるでしょう?」

もともと串串香を買うために並んでいた人々は、その香りを嗅ぐと鼻をくんくんさせて一生懸命匂いを嗅いだ。最初は蓮の庭から漂ってくる香りだと思ったが、嗅いでいるうちにそうではないことに気づいた。

そのとき、誰かが向かい側を指さして叫んだ。「香りはあっちから来ているみたい!あそこも飲食店みたいだけど、見に行ってみない?」

こんなに香ばしい香りを嗅ぐと、串串香はもう香ばしく感じなくなり、多くの人が買うのをやめて、一団となって向かい側に押し寄せた。

飯酔いグループの飲食店は、もともと客が一人もおらず、通りすがりの人さえいなかったが、今や店内は満員になっていた。

「女将さん、さっきのあの香りは何ですか?あの料理が欲しいです。それと他のものも注文したいです。」

「私たちも欲しい、私たちも欲しい!」

竜野艶子は慌てふためいて苦笑いしながら、テーブルごとに笑顔で説明した。「誤解されているかもしれませんが、さっきは料理を作っていたのではなく、ソースを作っていたんです。牛肉ソースです。」

「牛肉ソース?それもいいじゃないですか。牛肉ソースをください。それと一人一杯のご飯も。」

仕方なく、竜野艶子は青木朝音に尋ねに行った。この牛肉ソースをどう売ればいいのかと。

しかし青木朝音は言った。「牛肉ソースは販売せず、プレゼントするだけです。店で食事をする方には、テーブルごとに牛肉ソースを小皿で無料サービスします。」

竜野艶子はそれを考えてみると、この方法はとても良いと思い、すぐに客たちに説明しに行き、新しく準備したメニューを配った。

案の定、牛肉ソースを食べるために、みんな次々と料理を注文し始めた。ただ、メニューにはたった三品しかなかった?すぐに何人かの不満が出た:

「どういうことですか?こんなに大きな店なのに、たった三品しかないんですか?」