第209章 私は魔王あさねに家庭教師になってほしい

北川蒼涼は確信を持って言った。「本物である可能性は高いね」

しかし、何かがおかしいと感じた……

忘憂は真田千晴ではないのか?

では、あの日忘憂の匂い袋を売っていた口ひげの男は誰だったのだろう?

真田千晴の部下なのか?

ありえない!

真田千晴は忘憂の匂い袋の製作は非常に難しく、すべてオークションに出品されると言っていたのに、どうして路上で500元で売るだろうか?

「林田おばさん、あの日この忘憂の匂い袋を買った時、屋台にいくつ置いてあったか覚えていますか?」

林田芸乃歩は思い出しながら言った。「結構たくさんあったわ、少なくとも十数個はあったと思うわ。私はただ適当に一つ選んだだけよ」

北川蒼涼はますます困惑した。どうしてあんなに多くの忘憂の匂い袋があるのだろう?

今考えると、あの口ひげの男は真田千晴の部下ではないはずだ。

しかも、この匂い袋の袋は以前のものとは少し違うようだし、真田千晴のものとも全く異なる。

もしかして……真田千晴以外にも忘憂の匂い袋を作れる人がいるのだろうか?

その可能性を考えると、北川蒼涼は言葉にできないほど喜びを感じた。

それは彼が忘憂の匂い袋を手に入れる確率がより高くなったということだ。

「蒼涼、東通りに行って運試しをしてみたら?もしかしたらその人がまた屋台を出しているかもしれないわ」と林田芸乃歩は言った。

「うん、ちょうどそう思っていたところだ」北川蒼涼はうなずいた。今はあの若者がまた現れることを祈るしかない。

「蒼涼お兄さん、この匂い袋を倫慶お兄さんにあげたらどう?」九斗は思いやりを持って言った。

「だめだよ、これはお前のものだ。大事にしておきなさい。彼の分は私が何とかするから。どのみち今月の30日には忘憂の匂い袋のオークションがあるから、少し奮発して、必ず彼のために一つ落札するよ」

北川蒼涼は匂い袋を慎重に彼の枕元に戻しながら言った。

「僕の病気はもう治らないよ」九斗は急に落ち込んで頭を垂れた。

「そんなこと言うな、必ず良くなるさ」北川蒼涼は手を伸ばして彼の頭をなでた。

林田芸乃歩は物思いにふけるように言った。「真田お嬢様も医術に詳しいと聞いたわ。今度彼女に九斗を診てもらえるようお願いしに行こうかしら。ただ、彼女が往診してくれるかどうかわからないけど」