第270章 青木朝音は墨川青だった、正体がバレる（3）

ハンサムな若い男性が同調して言った。「青木お嬢様は、あのピアノの神曲を作った極光とAsaだと聞いていますが？

青木お嬢様のような創作の天才なら、きっと書道にも精通しているでしょう。そうでなければあんな発言はしないはず。みんなで一度、青木お嬢様を信じてみてはどうでしょう？」

それを聞いて、青木愛茉は笑いそうになった。青木朝音のあの鶏が地面を引っ掻いたような字、歪んでいて醜いものが書道に精通しているだって？笑わせるにもほどがある。

青木愛茉は今、青木朝音が恥をかくことを望んでいたが、同時に彼女のせいで自分たちが巻き込まれることも心配していた。もし何かあれば、青木家の人は追い出されるかもしれない。それはあまりにも恥ずかしいことだ。

だから、彼女の心は非常に葛藤していた。

それに、彼女はまだ箏の演奏を披露したいと思っていた。あの卑しい女に自分の出番を台無しにされるわけにはいかない。

彼女は急いで青木勇太の袖を引っ張り、小声で諭した。「お父さん、早く姉さんを説得してください。これ以上恥をかかせないで。さもないと私たちは追い出されてしまうかもしれません。」

しかし、青木勇太が口を開く前に、青木朝音はすでに古川お爺さんの方へ歩み寄っていた。青木勇太は驚いて、反射的に彼女を引き戻そうとしたが、青木朝音にかわされてしまった。

「戻ってこい、まだ恥をかき足りないのか？」

青木勇太は歯を食いしばって低く叱った。顔は怒りで赤くなっていた。本当に心配していた。このままでは青木家の面目は完全に潰れてしまう。

青木朝音は聞こえないふりをして、まっすぐに古川お爺さんの側に歩み寄り、まず礼儀正しく頭を下げて挨拶し、それから視線を黒檀のテーブルの上の書道作品に落とした。彼女の目は炎のように輝き、非常に真剣に見つめていた。

そして彼女はこう言った。「古川先生の書は力強く、筆は途切れても意は繋がり、バランスが取れています。確かに素晴らしい書と言えるでしょう。」

この言葉を聞いて、すぐに真田雨美の嘲笑する声が響いた。「今さら言い直しても遅いんじゃない？さっきは古川お爺さんの書道が良くないって言ったのに、今度は素晴らしい書だなんて。あなたって本当に厚かましいわね！」