第307章 全ての大物が出動、青木朝音に服を届ける（5）

この時、F組教室の外で、青木朝音は目の前に大小の袋を持った三人の男性を見て、断るわけにもいかず、受け取るのも気が引けて、困り果てた表情を浮かべていた。

彼女はすでに古川松陰が送ってきた服を着ていたので、他の人から服をもらう必要はなかったのだが、天知る、兄弟たちが今どれほど古川松陰を恨み、どれほど傷ついているかを。

彼らは良いところを見せたくても機会がなかったのだ、ああ！

青木朝音は兄弟たちがかなり落ち込んでいるのを見て、結局心が和らいだ。「まあいいわ、服はもう買ったんだし、受け取るわ。でも多すぎるから、置く場所もないし、適当に2着だけ選んでもいい？」

この言葉を聞いて、案の定、兄弟たちの気分は曇りから晴れに変わった。北川倫慶は急いで自分が買った服を勧めた。「僕のを、僕のを、女神様は僕の服を選んで、僕が買ったのはとても素敵だよ。」

しかし青木朝音はちらっと見ただけで、目尻が思わず痙攣し、非常に嫌そうな顔をして、あまり幼稚でない服を一着選んだ。他のはすべて非主流のスタイルだったからだ。

こうして比べてみると、やはり古川松陰の目は確かだった。彼女が今着ているこのジャケットはとても気に入っていた。

北川麟兎は寒さで震え、首を縮めながら袋を探ったが、自分の服がないことに気づき、すぐに鋭い視線を投げかけた。「四兄さん、どういうつもり？俺の分も買ってくれなかったの？」

北川倫慶は気まずそうに鼻をこすった。「忘れてた。」

「俺たちが買ってあるよ。」

やはり北川蒼涼と北川和蒼は五弟のことを忘れておらず、ついでに綿入りのコートを一着買っておいた。本当にただのついでだったが。

北川麟兎は感謝の眼差しで二人の兄を見て、すぐに綿入りのジャケットを羽織った。これでようやく暖かくなった。

青木朝音は面目を立てるように北川蒼涼と北川和蒼の袋からそれぞれ気に入った服を一着ずつ選んだ。二人の目は悪くなく、少なくとも北川倫慶よりずっと良かった。

同時に、数人のお爺さまたちも急いでやって来て、彼らも大小の袋を持って青木朝音に服を届けに来ていた。

青木朝音は感動しつつも困惑していた。彼女の席の下にはもう置く場所がなかったので、お爺さまたちに持ち帰ってもらうしかなかった。彼女が後で屋敷に取りに行くことにした。

お爺さまたちは残念そうに帰っていった。