九領統一試験の日がついに来た。
北川麟兎は自分の運がとても良いことに気づいた。なんと母上様と同じ学校で試験を受けることになったのだ。同じ試験会場ではなかったが、それでも彼は狂喜乱舞していた。
彼は今日もいつものように青木朝音の家の下で待っていたが、朝音に上がってくるよう呼ばれた。テーブルには木村琢真が買ってきた朝食が並べられており、あの方も先ほど来て、すでにテーブルに座って食事を楽しんでいた。
北川麟兎は一瞬驚き、少し不思議そうに「松陰様、どうしてこんなに早くに?」と尋ねた。
自分が十分早く来たと思っていたのに、古川松陰の方がさらに積極的だったとは。
古川松陰は小籠包を一つ口に入れ、眉を上げて彼を横目で見た。今回は珍しく優しい口調で「これからお前たちを学校に送るんだ」と言った。
気のせいかもしれないが、北川麟兎は古川松陰の自分に対する態度が大きく変わったように感じた。
なんだか不気味だな、何か陰謀があるんじゃないか?
「早く来て食べないか?」
古川松陰は北川麟兎がぼんやり立ち尽くしているのを見て、眉をひそめ、彼に向かって叫んだ。麟兎はまた驚き、まるで父親が息子に食事に来るよう呼びかけているような不思議な感覚を覚えた…
「松陰様、今日はどうしたんですか?僕を追い出さないなんて?」北川麟兎は不安げにテーブルに座り、パンを一つ掴んで食べ始めた。
古川松陰は意味深な目で彼を一瞥し、すぐに目を伏せてお粥を一口飲み、反論の余地を与えない口調で「食事をしろ」と言った。
青木朝音でさえ、今日の古川松陰の北川麟兎に対する態度が少し不思議に感じたが、はっきりとは言えず、それ以上考えることはなかった。
三人が朝食をすべて食べ終えると、古川松陰は車で二人を権州第二高校まで送り、励ましの言葉をかけ、彼らが中に入るのを見届けてから車を走らせた。
古川松陰は、たとえ青木朝音の最終的な大学入試の成績がゼロ点だったとしても、かつてJキングを特別に入学させたように、九領学院に特別に彼女を入学させることができると考えていたので、彼女が試験でうまくいくかどうかまったく心配していなかった。
青木朝音と北川麟兎はそれぞれの試験会場を見つけた。二人の試験会場は非常に近く、間にたった一つの会場を挟むだけだった。これに北川麟兎はまた喜びを感じた。