第75章 私が懐かしむのは、共に過ごした若き日々（5）

髙橋綾人が名古屋全体で有名な中学校に入ってから、彼はほぼ毎日異なる美女に会うことができた。丸顔、卵形の顔、瓜型の顔、上流家庭の娘、小さな家の美人など、太っている子も痩せている子も、ありとあらゆる女の子がいた。

彼の心に真に響く子は一人もいなかったが、彼の女性に対する要求はますます高くなっていった。特に中学3年生になってからは、どんな女性が彼の目に入っても、白湯のように何の波紋も起こさなかった。

しかし、あのシルエットは、彼に長い間感じなかった「目の前が明るくなる」感覚を与えた。

彼がよく見る前に、コーラを買いに行かせたデブが汗だくで戻ってきた。「綾人さん、頼まれたコーラです。」

デブはちょうど彼の視界を遮っていた。彼は眉をひそめ、急にデブを押しのけたが、あのシルエットはすでに同じ制服の中に紛れ込んでしまい、見つけることができなかった。

デブは彼の不機嫌さに気づいたようで、コーラのキャップを開けて、息を切らしながら機嫌を取るように言った。「綾人さん、キャップ開けておきました。」

人を見つけられなかった髙橋綾人は、心の中で少しイライラし、デブを蹴って不機嫌に返事をした。「コーラなんかどうでもいい！」そして不機嫌に指先のタバコを消し、スマートにタバコの吸い殻を近くのゴミ箱に弾き飛ばし、教室棟に向かって歩いていった。

あの出来事は、一枚の落ち葉のように、彼の心の湖に軽く落ち、波紋を広げたが、大きな波を起こすことなく、すぐに静けさを取り戻した。

それから半月後、彼は「悪友たち」と学校近くのネットカフェで徹夜をしていた。

半晩ゲームをして疲れた彼は、椅子に寄りかかって目を閉じていると、隣に座っていたデブが彼の腕をつついた。「綾人さん、コーラ飲みますか？」

彼は軽く頭を振り、デブの言葉に応じなかった。

デブは大きな音を立てて後ろの椅子を蹴り、ネットカフェのフロントに飲み物を買いに走った。

おそらくデブが「コーラ」という言葉を口にしたせいで、彼の頭の中には半月前、学校のグラウンドで見かけたあの美しいシルエットが浮かんだ。

心が突然乱れ、眠気も一気に消えた。彼はテーブルの上のタバコの箱から一本取り出し、口にくわえて火をつけた。煙の向こう側から、デブがたくさんのコーラを持って戻ってくるのが見えた。