第98章 百回の「ごめんなさい」(8)

髙橋綾人は翌日、まだ夜が明けないうちに名古屋から京都へ戻った。出発前に、彼は髙橋余光の寝室に行き、余光さんの遺品をいくつか持ち帰った。

午後6時になってようやく、髙橋綾人は京都の自宅に到着した。

長距離運転で疲れた彼は、熱いシャワーを浴びてからベッドに倒れ込んだ。

目を閉じて、寝入ったばかりのところで携帯が鳴り始めた。髙橋綾人はいらいらしながら枕元を手探りし、携帯を取り上げて着信表示を見ると、山崎絵里からの電話だった。

電話に出ると、髙橋綾人がまだ口を開く前に、山崎絵里の声が聞こえてきた。「高橋先輩、記憶ちゃんの行動が早いですね。昨日お見合いに行くことを決めたばかりなのに、今夜本当にお見合いに行ったんです。お見合いの場所は、今あなたのWeChatに送りました…」

髙橋綾人は一瞬で目が覚めた。彼は電話越しに山崎絵里に「うん」と返事をし、「わかった」と言って電話を切った。