第114章 私がこんなことをする価値もない （4）

「……本当に今回の助けに感謝しています。もし良ければ、時間があるときに、私、私がお礼に食事をご馳走したいのですが、高橋くん……」と森川記憶は付け加えた。

言葉を口にした後、森川記憶は自分が間違ったことを言ったかもしれないと気づいた。

髙橋綾人は彼女に二度と彼の前に現れるなと言っていた。そして4年後の彼らの再会や出会いは毎回不愉快なものだった。前回、彼が熱を出して、彼女が彼の世話をした夜、彼らは危うく一線を越えそうになった時、彼は「お前が昨晩俺のそばに寝ていなかったら、お前に触れたいとでも思うか？」と言った。さらに「もし俺が朦朧としている時にお前を抱いていたら、吐き気がするほど気持ち悪い！」とまで言い、最後には彼女に出ていけと言った。彼は明らかに彼女との関わりを望んでいなかった……