第77章 私が懐かしむのは、共に過ごした若き日々(7)

その時はちょうど下校時間で、多くの学生が階段を降りていた。彼は何度も道を塞がれ、少しイライラした彼は、突然「みんな端によけ!」と怒鳴った。

すると、もともと混雑していた階段は、4階から1階まで、一瞬で道が開いた。

しかし、それでも彼は彼女に間に合わなかった。

彼が教学棟から飛び出し、さっき「コーラちゃん」がいた場所に着いたとき、彼女はもういなくなっていた。

彼は彼女がさっき立っていた場所に立ち、急に気分が落ち込んだ。

彼はいつも自分を無神経な人間だと思っていたが、それは恐らく彼の人生で初めて、このようなネガティブな感情を抱いた瞬間だった。

彼はしばらくぼんやりしていたが、背後から「綾人さん」という声が何度も聞こえてきて、やっと振り返った。トイレ掃除をするはずだったデブたちの一団が、モップとほうきを持って、勢いよく駆け下りてきた。「綾人さん、誰を殴るんですか?」

誰も殴らねーよ……気分の悪い髙橋綾人は、心の中でそう呟いただけで、声に出さず、手を振って、みんなに自分の仕事に戻るよう合図した。

一団がどやどやと散った後、彼はしばらく遠くに立っていてから、上の階に戻った。

日が暮れるまで、みんなはようやくトイレ掃除を終え、カバンを背負って、グループで学校の門から出て、向かいのラーメン屋に行った。

彼が会計をしているとき、デブが言った。「次はネットカフェに行く?」

彼はタバコをくわえたまま、黙っていた。ラーメン屋の店主がお釣りを渡した後、彼は「お前らだけ行け、俺は行かない」と言った。

デブが尋ねた。「綾人さん、じゃあどこに行くの?」

髙橋綾人はカバンを背負い、一団に背を向けて、少し歩いてから、二文字だけ返した。「帰る」

彼らのリーダーは「夜遊び」の代名詞だったのに、今日はどうしたんだ?リーダーが家に帰るだって?

みんな顔を見合わせ、何か信じられないことを聞いたかのようだった。

家に帰ると、すっかり暗くなっていた。

おそらく父親が遅く帰ったせいで、家族はちょうど夕食を食べ終えたところだった。家政婦が彼のために扉を開けながら、彼のカバンを受け取りながら、「二少爺様、夕食はもう召し上がりましたか?」と尋ねた。