第183章 彼女の手の中のボイスレコーダー(3)

空が真っ暗になり、タバコの箱も空になった頃、髙橋綾人はようやく疲れ果てて後ろに二歩下がり、一本の木に寄りかかった。

彼は携帯を取り出し、何度目かわからないが彼女に電話をかけた。しかし、相変わらず電源が切れている状態だった。その後、山崎絵里にメッセージを送ったが、返事はまだ学校に戻っていないというものだった。

彼女は友達と一緒にいるわけでもなく、彼は彼女がよく行く場所を一日中回ったが、彼女の姿は見つからなかった……まさか京都市内を離れたわけではないだろう?

髙橋綾人はそこまで考えて、急に通話履歴を開いた。秘書の電話番号を探し、ダイヤルしようとした。秘書に森川記憶の最近のフライトや新幹線を調べてもらおうと思ったが、指が画面に触れる前に、携帯は「バッテリー残量不足」の警告を表示した。