第316章 『方圓數里』(6)

森川記憶が先ほど送ったメッセージに、返信が早かった。「髙橋余光」はまだスマホを見ているようで、すぐに彼女に返信した:「誕生日だったの?」

「うん」森川記憶は適当に一文字打って送信し、それからキーボードで続けて数回タイプして、「髙橋余光」に詳しく答えた:「髙橋綾人が私の誕生日を祝ってくれたの」

彼女は「髙橋余光」に対していつも話が多く、今回も例外ではなかった。誕生日の様子を一部始終「髙橋余光」に伝えた:「私は事前に何も知らなかったの。彼は誕生日を盛大に祝ってくれて、白雪姫やシンデレラまで出てきたわ。それって小さな女の子が好きそうなものでしょ?私はもうこんな歳なのに...でも、とても素敵で気に入ったわ」

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「菅生社長、信じられないかもしれませんが、前回あなたが撮影現場に来て、森川さんが怪我をしてから、高橋社長は人が変わったみたいなんです。私に森川さんを常に気にかけるよう命じて、さらに撮影スタッフ全員に声をかけて、森川さんに良くするように伝えろと...」田中白は菅生知海にグラスを軽く持ち上げ、憂鬱な表情で言った。