第412章 なるほど、ときめきだったのね (2)

髙橋綾人の声を聞いて、森川記憶は自分が彼の一言にこれほど影響されていることに気づいた。彼女は急いで唾を飲み込み、胸の中で波打つ感情を押さえつけながら、理性を取り戻そうと努め、髙橋綾人の視線に向かって言った。「あの夜のことは、あなたのせいじゃなかったけど、責任を取ると言ってくれて、本当に嬉しいわ。でも、ごめんなさい...」

後の言葉を言い終える前に、森川記憶の心は何かに強く引っ張られ、激しく蹂躙されるように、生々しい痛みが広がった。

彼女はテーブルに置いた指先で、無意識にテーブルの表面をしっかりと掴み、自分の表情と声のトーンを必死に平常に保ちながら、続けた。「...髙橋綾人、私は受け入れられないわ。」

そう、彼女は受け入れられない、受け入れることなどできない...

これは彼女が心の底から分かっていたことなのに、なぜ口に出した途端、心の痛みがさらに激しくなったのだろう?