第413章 なるほど、ときめきだったのね (3)

しかし、彼女が好きなのは余光さんではなかったのか?なぜ髙橋綾人に心惹かれるのだろう?

人が本当に誰かを好きになったら、他の人を好きにならないと言われているではないか?

なぜ彼女の心の中に余光さんがいるのに、髙橋綾人も心に入り込むことができたのか?

もしかして、どちらかの感情は彼女の錯覚なのだろうか?

森川記憶は本能的に唇を噛み、心の中で真剣に考え始めた。

彼女の人生から髙橋余光がいなくなれば心が痛む、髙橋綾人がいなくなっても痛む。

これは、二人の男性どちらも大切だということだ。

彼女は一体どうなってしまったのか?どうして二人の男性に同時に感情を抱いてしまったのか?

こちら側の森川記憶は、心の中で非常に葛藤していた。

彼女の向かいに座っている髙橋綾人は、彼女が考えもせずに返した「受け入れられない」という言葉に沈んでいた。