第496章 彼女とYCは共に存亡を共にする(6)

髙橋綾人がレストランに現れてから、森川記憶は首を振るか黙り込むかのどちらかだったが、この時ようやく彼の言葉に同意の反応を示した。彼はまるでこの世で最も美しい景色を見たかのように、眉の端に喜びの色を浮かべ、まるで森川記憶がすぐに気が変わるのを恐れるかのように、すぐに振り返って「田中白」と声をかけた。

田中白は髙橋綾人と森川記憶から少し距離を置いていたが、二人の会話はすべて聞こえていた。髙橋綾人に呼ばれると「今すぐシェフを呼んできます」と答え、すぐに食堂の厨房へ向かった。

田中白はすぐにシェフを連れて髙橋綾人と森川記憶の前に戻ってきた。

シェフは髙橋綾人の指示に従い、森川記憶に向かってメニューを読み上げ始めた。「カイランの湯通し」

森川記憶は泣きはらした目を持ち上げたくなかったので、うつむいたままでいた。彼女の頭の中は昨日の番組収録で起きたことでいっぱいで、何を食べたいかなど考える余裕はなかった。シェフが読み上げたメニューに対して、なかなか反応を示さなかった。