第543章 深い愛と彼との思いがけない出会い(3)

前の晩、森川記憶は遅くまで起きていたため、翌日の正午11時になっても、彼女はまだ暖かい布団の中で甘い夢を見ていた。

本当に素敵な夢だった。彼女は髙橋綾人と一緒に後海の白い石の欄干の前に立ち、空いっぱいの花火を眺めている場面を夢見ていた。

次々と打ち上がる花火の爆発音の中、森川記憶は手のひらの中の携帯電話が微かに振動するのを感じた。画面を開くと、アリペイの赤い封筒が届いていた。アリペイを開いてみると、森川記憶はそれが隣に立っている髙橋綾人から送られてきたものだと気づいた。

赤い封筒のメッセージはとてもシンプルで、たった三文字:お年玉。

開けてみると、金額は:8888。

夢がさらに続こうとしたとき、森川記憶の耳に母親の呼ぶ声が聞こえてきた。「記憶、起きなさい、記憶!」

そして、彼女の体を覆っていた布団が剥がされ、わずかな冷気が森川記憶を夢から目覚めさせた。