第24章 何年も探し続けていた

なぜか、目に病院での夏野暖香の強情な瞳が浮かんだ。

唇の端に諦めの微笑みが浮かぶ。

「帝様、あなたはこの少女を、もう何年も探し続けてきましたが...ずっと...」

「もう探さなくていい」南条陽凌は少し寂しげに言い、引き出しを開けて、その絵を静かに戻した。

藤田様樹は全身の力が抜けたように安堵した。

「おそらく、これはすべて天意なのだろう。自分のものではない人を、どれだけ執着しても意味があるだろうか？それに...もう身近な無実の人を傷つけたくない...」

「帝様、おっしゃっているのは...若奥様のことですか？」

南条陽凌の表情が曇り、顔を上げて、冷たく藤田抑子を一瞥した。

藤田抑子は慌てて一歩後退し、すぐに頭を下げて言った。「わざとではありません...帝様...」

「...」

南条陽凌の表情が少し和らいだのを見て、藤田抑子は再び笑顔で言った。「どのような状況であれ、帝様が心を開放できることは私も嬉しく思います。」

南条陽凌はいらだたしげに手を振った。

「出て行け」

藤田抑子は媚びるように笑った。「はい、帝様！何かございましたらいつでもお申し付けください～！」言い終わると、一目散に走り去った。

南条陽凌は回転椅子を回し、深い眼差しで床から天井までの窓の外を見つめた。

街全体の景色が目に広がっていた。

...

数日間、南条陽凌は姿を現さなかった。

夏野暖香はほっとした気持ちになった。彼女はもうあの男に会いたくなかった！あの夜、南条陽凌は病院に泊まり、彼女をほとんど気絶するまで苦しめた。目が覚めたときには彼の姿はなかった。

彼女は自分が飲んでいた薬がまだ効いているかどうかわからなかったが、南条飛鴻がいなくなり、彼女のために薬を買ってくれる人もいなくなったので、ただ自分が大丈夫であることを祈るしかなかった。

この数日間、彼女の世話をしていたのは芸子だった。芸子は暖香ちゃんの乳母で、夏野暖香と一緒に南条家に嫁いできた人だった。彼女は夏野暖香のすべてをよく知っていた。

夏野暖香の脳裏に残る夏野暖香の記憶と合わせて、ぼんやりとしていたが、いくつかのことを大まかに理解していた。

夏野暖香は今年20歳で、以前の彼女と同じ年齢で、大学を卒業したばかりの学生だった。

卒業後すぐに南条家と政略結婚し、南条陽凌に嫁いだ。