「私は別に人に羨ましがられる必要なんてないわ!」夏野暖香はちょっと拗ねたように言った。
南条陽凌の顔に怒りが走り、目を細めて彼女を見つめた。「夏野暖香、もう一言でも言ったら、キスするぞ!」
暖香ちゃんは彼の視線を見て、彼が本気だと分かった。
彼女は口をもごもごさせ、恨めしそうに彼を見つめた。
結局、もう一言も発しなかった。
南条陽凌は満足げに口角を上げた。
病院の入り口に着くと、すでに運転手が待っていた。
南条陽凌は彼女を直接車に抱き入れ、降ろす時にも彼女の顔を引き寄せ、唇にちょっとキスをした。
「君がいつもこんなに素直だったらいいのに」彼の笑顔は陽の光の中で、とりわけ華麗で妖艶だった。
夏野暖香は力強く自分の唇を拭いて、抵抗の意思を示した。
南条陽凌は彼女を気にせず、自分も車に乗り込んだ。
……
道中、南条陽凌はまあまあ大人しくしていた。
ただ彼女の手を握って、もてあそぶように。
まるで子供が粘土で遊ぶかのように。
時々口元に持っていってキスをする。
夏野暖香は逃げられず、彼にくすぐったくされて、顔色も悪かった。
南条陽凌は見なかったふりをした。
どうせ自分の妻と遊んでいるだけだ、という堂々とした様子で。
夏野暖香は自分がいつか強くなったら、絶対に彼の頭を踏みつけて威張りたいと思った。
この男は、まさに悪魔だ。
……
家に着いた時、南条陽凌は車から降り、無理やり彼女を抱えて別荘に入った。
最後は直接寝室のベッドまで運んだ。
「今日はちゃんと休むんだぞ」彼は彼女の布団をきちんとかけてやった。
夏野暖香はまるでロボットのように、無表情で彼を見つめていた。
南条陽凌は知っていた、彼女の心の中では彼をどれほど憎んでいるかを。
彼もそれを暴露しなかった。
むしろ彼女のこの人の思うがままになっている様子が、かわいいとさえ思った。
彼は彼女の額にキスをし、それから鼻先、唇。
顎…少しずつ首へ、そして胸元へと移っていった。
最後にキスをする頃には、夏野暖香はまだ何も感じていなかったが、彼自身の息遣いはすでに荒くなっていた。
もう少しで自制心を失い、彼女に覆いかぶさるところだった。
もし午後に用事がなければ。
彼は今すぐにでも彼女を求めたかった。