第266章 【266】私はあなたに彼を手ずから殺させる2

南条陽凌の鋭い視線は、まず室内全体を一巡りし、そして静かに夏野暖香の姿に釘付けになった。

少女は淡いピンク色のネグリジェを着て、漆黒の長い髪を肩に垂らし、小さな顔には驚きの表情が浮かんでいた。

顎と唇をきつく引き締め、はっきりとした黒い瞳で彼を見つめていた。まるで森の中の純粋な白ウサギが、突然猛獣を目にしたかのようだった。

そして今、橋本健太が彼女の隣に立っていた。過激なシーンを目撃したわけではないが、二人とも寝間着姿で一緒にいるその光景だけで、十分に衝撃的だった。

一瞬、南条陽凌は胸に鋭い痛みを感じ、端正な顔が一気に冷たくなった。彼は深呼吸し、片手を腰に当て、必死に自制して、目の前の男女に向けてデザートイーグルを抜かずに済んだ。

「南条陽凌、あなた何をするつもり？」

夏野暖香は南条陽凌の背後にいるボディガードたちと、窓の外に設置された口径が1メートルもある大砲の列を見た。頭上の空には、数機のヘリコプターまで旋回していた！

周囲は不気味で恐ろしい雰囲気に包まれていた。

スミス夫人は震えながら叫んだ：

「あ...あなたたち知り合い？私は関係ない...私を傷つけないで...私はまだ息子の結婚式も見ていないし、私は...あぁ...」

南条陽凌が少し苛立ちを見せて眉をひそめると、武田達也は拳銃を取り出してスミス夫人に向けた：

「黙れ。」

スミス夫人の手から洗面器とモップが「ガシャン」と床に落ち、彼女自身も恐怖で地面に崩れ落ち、もう一言も発することができなかった。

「南条陽凌、用があるなら私に向かってきなさい、スミス夫人を傷つけないで！」

夏野暖香は怒って言い、前に出てスミス夫人を支えた：「大丈夫ですよ、彼にあなたを傷つけさせません！」

スミス夫人は胸を押さえ、大きく息を吐きながら、苦しそうに言った：「だめ...私は高血圧で、私は...とても苦しい...病院に行かなきゃ、もうダメになりそう...」

夏野暖香は心配になり、不安そうに尋ねた：「どうしたんですか？スミス夫人？！」

傍らの橋本健太も前に出ようとしたとき、武田達也は「カチッ」と銃の安全装置を外し、スミス夫人に向けた：「そんなに苦しいなら、すぐに楽にしてやろう！」